14年間地下金庫で守られたシルクロードの秘宝 「黄金のアフガニスタン展」開幕
2016年4月12日から東京国立博物館で特別展示「黄金のアフガニスタン-守り抜かれたシルクロードの秘宝-」が始まった。出展されているのは、政治不安や紛争の中で秘密裏に隠されていた古代アフガニスタンの至宝231点と、日本で「文化財難民」として保護されていた15点。破壊などの危機を逃れた貴重な古代の遺産に接することができる数少ない機会だ。
ナビゲーターは俳優の鈴木亮平さん
中央アジアの内陸部にあるアフガニスタンは、古くから欧州―中国間のさまざまな文化が交錯する「文明の十字路」として栄えてきた。主に王族が収集、保管してきた宝物は1922年に建てられたアフガニスタン国立博物館に収蔵されていたが、1979年の旧ソ連による侵攻で国内の情勢が不安定になり、文化財は破壊と略奪の危機にさらされた。1989年にはついに博物館が閉鎖されることに。ソ連軍撤退後も国内は紛争が続き、収蔵品が失われることを懸念した博物館の職員らが、特に貴重なものを大統領府にある中央銀行地下金庫に隠した。戦火の中人力で宝物を運び込む作業はまさに「命がけ」。携わった職員の家族にすら業務の内容が明かされない極秘の保護活動だった。
紛争の長期化でほとんどの収蔵品は失われたものと思われていたが、暫定政府成立後の04年に宝物を保管していた金庫が開錠され、貴重な文化財が無事であることが確認された。
「黄金のアフガニスタン展」は地下金庫の秘宝発見をきっかけにアフガニスタンの文化遺産復興支援のために06年から始まった国際巡回展の一つ。北部のティリヤ・テペで出土した煌びやかな黄金製品を中心に保管されていた231点と、内戦中に不法に国外へ持ち出され、ユネスコ親善大使を務めた日本画家・故平山郁夫氏の提唱で「文化財難民」として日本で保護されていた宝物15点が展示される。また、この展覧会を期に日本で保管されていた文化財はアフガニスタンへ返還される。
4月11日に行われた開会・流出文化財返還式では、本展のスペシャルナビゲーターを務める俳優の鈴木亮平さん(33)が出席し
「たった今作られたような輝きを放つ金の普遍性に圧倒される展覧会になっています。トルコ石やラピスラズリなど色とりどりの宝物は、まさにアフガニスタンの色彩だという感じで、歴史好きの方はもちろん、綺麗なものやオシャレなものが好きな若い女性の方も楽しめるのではないかと思います」
と語った。
開催は6月19日まで。