勝ちさえすればいいのか 日本には「戦いの美学」がある。

   宮本武蔵と佐々木小次郎が関門海峡の巌流島で決闘をしたのは今から404年前の慶長17年(1612年)4月13日といわれる。今は刀剣を持って命をやり取りすることはないが、ビジネス社会では厳しい戦いが繰り広げられている。スポーツもそうだが、勝ちさえすればいいのか。古来、日本には正々堂々と戦うべしという美学があった。新入社員の皆さんはどう思うか。戦いのあり方について紹介したい。

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人生賭けて―苦しみの後には必ず成長があった
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常に戦う気持ちを持っているか


日本人の闘い方

   兵法といえば、中国春秋時代に書かれた『孫子』が有名だが、日本にも900年以上前に兵書があった。平安後期の学者、歌人として知られる大江匡房によって書かれた『闘戦経』である。『日本人の闘い方』(著・齋藤孝、1512円、致知出版社)は、マスコミでも活躍する教育学者の著者が『闘戦経』を現代人がどう読み、どう役立てるか、分かりやすく解説したものだ。

   「ただ勝てばいいというものではない。どのように勝つか。正々堂々と闘うのが日本人の闘いである」と大江匡房は説く。

   「心に『武』を秘めているか」から始まり「常に戦う気持ちを持っているか」「知識や技術が骨身にまで達しているか」「自分の得意技に徹しているか」「剛毅なる心を持っているか」と現代ビジネスパーソンに贈る53の心得が並ぶ。日本の武の精神を改めて語りかけてくる。

織田信長を討った男、守った男


決戦! 本能寺

   『決戦! 本能寺』(著・葉室麟ら7人、1728円、講談社)は、戦国時代の大事件を7人の作家が1人ずつ1作を描く「決戦!」シリーズで、「関ヶ原」「大阪城」に続く第3弾である。ベテラン、若手が「これがという人物」を取り上げ、競いながら多面的な作品にまとめ上げる。

   著者とタイトルは「伊東潤×織田信房〈覇王の血〉」「矢野隆×森乱丸〈焔の首級〉」「天野純希×島井宗室〈宗室の器〉」「宮本昌孝×徳川家康〈水魚の心〉」「木下昌輝×細川幽斎〈幽斎の悪采〉」「葉室麟×齋藤利三〈鷹、翔ける〉」「冲方丁×明智光秀〈純白き鬼札〉というラインアップだ。

   天下人となる目前の織田信長を討った男、守った男、何もできなかった男たち――戦国時代を駆け抜けた男たちの戦いがあぶり出される。

ケガと戦いながら世界記録を達成


人生賭けて~苦しみの後には必ず成長があった~

   今季、プロ野球・阪神タイガースは優勝できるか。『人生賭けて~苦しみの後には必ず成長があった~』(金本知憲、1620円、小学館)は、新監督・金本知憲が語る現役時代の苦しみと戦いの野球人生である。

   4番打者として、ホームランバッターとして大活躍したことは誰でも知っているが、野球関係者たちの間では、あれほど練習熱心な選手はいないと一目置かれていた。もともと非力な肉体を厳しく鍛え上げ、大ケガにも泣かされリハビリと闘い、左手首を骨折しながら右手1本でヒットを放ったこともある。前人未踏の1492試合連続フルイニング出場の世界記録を達成したのは、そんな努力の結晶だった。

   2012年に引退したとき「若い時に、もっとバットを振っていたら」と振り返り、まだ練習に不満だったのかと周りを驚かせた。絶望から希望へ。苦難を乗り越えたスーパースターの人柄も伝わってくる。

  

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