多様化するビール市場に新提案 「キリン フレビア」の反響にメーカー手ごたえ
フルーティーな香りを楽しめるクラフトビールやフレーバービールの人気が高まっている。全国各地でオクトーバーフェストのようなビールをテーマにしたイベントが頻繁に開催されるなど、これまでとは一味違うビールを飲む機会が増え、スーパーやコンビニでも専用の売り場ができるほど市場が活況だ。
大手ビールメーカーもこの流行に反応して、新たなビールを積極的に投入し始めた。2014年末に発売された「キリン フレビア」は、キリンビールとセブン&アイとの協業で生まれた商品だ。レモンのフレーバーを加えつつ苦みを抑えることで、ビールが苦手な人でも飲みやすく仕上がっている。
従来の食中酒とは異なるシーンでも
「キリン フレビア」に関するツイッターの反応を見ると、これまでのビールとは違う味わいを評価する声が少なくない。
「KIRIN フレビア レモンテイストのビール(発泡酒) ビールの苦味はほぼなくて、レモンの爽やかな味 女の子にお勧め」
「サッポロのホワイトベルグといい、キリンのフレビアといい、あんまり苦くないビールっぽいの増えてきたの、お子様な俺にはすごい嬉しい」
こうした反響についてキリンビールで商品開発を担当しているマーケティング部の山崎勝弘さんは、「ビール離れが進む中、新しいビールの文化を提供できつつあり、手ごたえを掴んでいます」と胸を張る。評価を得た背景について聞くと、「スタイリッシュなボトルで、ほの甘くどこまでも爽やかな味覚、そしてアルコール3%という商品性が、ビールが苦手な若年ユーザーの方々に、自分たち向けの商品として捉えられていることが理由だと考えます」と語った。
またフレビアは、普段ビールを飲む主婦層を中心に、家事の合間やママ友会といった従来の食中酒とは異なるシーンでも楽しまれており、「フレーバービール市場の奥深さや可能性の大きさを感じている」という。
同商品はセブン&アイグループで先行発売されており、キリンビールの商品開発力とセブン&アイグループの販売力が組み合わさったことで実現したもの。流通と協業し商品を展開していることについて山崎さんはこう話す。
「お客様への新しい価値を提案するという弊社の意思が、セブン&アイグループと合致したことで協業は実現しました。さまざまな商品が発売される今日では、新市場をつくる際に、協業は1つの形であると考えます。協業と言ってもいわゆるプライベートブランドを展開するのではなく、キリンビールとしてモノづくりの精神にこだわった商品を開発することで、メーカーとしての存在意義、つまりキリンブランドの価値向上へ繋がっていると考えています」
流通と協業することで、新市場を目指すキリンビール。こうした取り組みが、今後の商品開発の新たな一手となるのかもしれない。