異彩な存在感発揮する「レクサス」 販売で独ライバルに遅れながらもユーザーの関心や専門家の評価は高く
トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の2013年の世界販売台数が過去最高となる52万台を記録した。一方、ドイツに居並ぶライバルのメルセデス・ベンツ、BMW、アウディはいずれも約150万台を販売しており、これだけをみると、レクサスが世界市場でドイツ勢と肩を並べるにはまだまだ時間がかかりそうなのだが、最近の国内外の調査結果や動向をみるとレクサスの評価は高く、加速では独ブランドのいずれをもしのぐ勢いを見せている。
5月米高級車市場でベンツ上回る
インテリアの質の高さも高評価につながった
ドイツ高級車ブランドの13年の世界販売台数は、各社の発表によると、メルセデス・ベンツが前年比10.7%増の146万台、アウディは同8.3%増の157万台、BMWが同7.5%増の165万台。ベンツとアウディは過去最高を記録した。
追うレクサスの立場からは、今年初めはまだ、ドイツ勢の後ろ姿を確認できないところだったが、月日が進むにつれて前年からの勢いを増しテールランプの明かりくらいは見えるようになっているようだ。
たとえば今年5月の米高級車市場。レクサスブランドは前年比なんと21.1%増の2万6921台を記録し、メルセデス・ベンツ(2万6617台)を上回ったのだ。
一方、日本国内では昨今、若者の自動車離れなどが指摘されているが、自動車の世帯保有率は高い水準を維持しており、その自動車保有世帯の間では「将来乗りたい高級セダン」としてレクサスが1位に上がっている。
「真剣に検討するに値する車」
インターネットを利用した市場調査を行っているクロス・マーケティングが14年6月、全国で20~69歳の男女を対象に実施した「自動車に関する調査」。将来乗りたい高級セダンを尋ねたところ、「レクサスGS」が44.4%で1位に。既婚者の子あり・子なし別で乗りたい車種を比較をすると、既婚子ありでは「レクサスGS」が55.1%で最も高かった。既婚子なしでは「BMW3シリーズ」が38.6%で最高。
「GS」は中型スポーツセダン。実は5月の米市場での販売台数は前年同月比13%減の1753台と落ち込みを見せているのだが、専門家による高い評価が明らかにされており、日本ばかりか世界でも、これが上昇に転じるきっかけになる可能性がある。
米大手自動車レビューサイト「Edmunds.com(エドマンズ・ドット・コム)」の中型スポーツセダン部門で、14年モデルの「GS350」が最高評価を獲得。同サイトでは、ライバルと目されるアウディA6やBMW 5 シリーズなどと比較しながらこう述べられている。
「これらの車(アウディA6やBMW 5 シリーズなど)は、それぞれ独自の強みを持っている。だが、この高級スポーツセダンの輝かしいグループにおいて、GS350は真剣に検討するに値する車だ」
評価基準は、パフォーマンス、安全性、内装、ドライブを楽しめるかなど多岐にわたる。そんな厳しいテスト項目の中で同車は、シャープなハンドリング、インテリアの質の高さ、後輪駆動による運転のしやすさなどが高評価につながったという。
RC、NXなど新車種が勢いを加速できるか
GS350は13年9月にマイナーチェンジを実施。トランスミッションは従来の6速ATから8速ATを新たに採用し、パフォーマンスと燃費性能の向上を実現させた。さらに、米アップルの音声認識ソフト「Siri(シリ)」を搭載。運転中に道案内や音楽再生などの操作が可能になった。
レクサスからは今年、スポーツクーペの「RC」やコンパクトSUVの「NX」など注目の新車種が続々と発売される予定。それらがGSのような評価を得られれば、ドイツ勢に迫る勢いがますます加速するはずだ。