民間月面探査プロジェクトの日本代表チームが「ゴキブリ」を徹底的に定点観測したワケ
ゴキブリと月面探査チームの共通点とは――。Googleが主催する民間による国際宇宙開発レースに日本から唯一参加中のチーム「ハクト」(白兎)が、月にかける思いを込めたWEB 動画「月とゴキブリ」を2014年6月3日に公開した。
「月への想いも"宇宙一"といえるのでは」
WEB 動画「月とゴキブリ」を公開
実在する本物の「ゴキブリ」が主演という思い切った動画だ。舞台は、日本の家屋の典型的な台所。夜空に見事な満月が浮かぶなか、台所の片隅でカサカサと音を立てるゴキブリ捕獲器。厚紙で覆われたその小部屋の中で、粘着剤に足を沈めて動けなくなってしまった一匹のゴキブリが、「奇跡」を起こす―――というストーリーが120秒間にわたり展開される。
いったい、ゴキブリと月面探査を目指すハクトとの間になんの関係があるのか。二者の共通点を、この作品の総合プロデューサーであるHaruHaruさんはこう説明する。
「昔から、月はたくさんの人を魅了してきました。そんな月を、最も長い間、見つめてきた生物は、誰でしょう……? それは、もしかしたら、『ゴ・キ・ブ・リ』かもしれません。ゴキブリは、世界に生息する総数1 兆50000億匹弱、約3 億年前の古生代石炭紀から地球上に存在を続け、『生きている化石』ともいわれています。そんなゴキブリですから、月への想いも"宇宙一"といえるのではないでしょうか。ハクトは、『世界初の民間組織による無人月面探査』を実現し、ワクワクする宇宙開発への道を切り拓くというビジョンを掲げて日夜取り組む"日本唯一"のチームです。つまり、最も長く月を見つめてきたであろうゴキブリに負けぬほど、月への憧れを持っています」。
こうした思いから、「同じ憧れ」を持ったゴキブリを徹底的に定点観測した結果、動画が出来上がったのだという。
「本物のゴキブリだからこそ、その先に見え隠れする哀愁や生命力、壮大なスケールの挑戦などを描きました。羽ばたきによる結末は、まさにサプライズがまっていますので、是非多くの人に見てもらい、月の魅力・ハクトのことを知ってもらえれば幸いです」
ツイッターではさっそく、動画について「こういうアホなヤツ嫌いじゃないよー」「前半はぎょっとするけど、後半はアレな感じに・・・・。でも、www。。。」「ゴキブリを見るために? 勇気を出した。 見てたら思わずフッと笑ってしまった。」などと感想が上がっている。
「ハクト」は日本初の民間月面無人探査チームとして、Googleの「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一参加している。「Google Lunar XPRIZE」はGoogle がスポンサーとなり、XPRIZE 財団によって運営される、民間組織による月面無人探査を競う総額4000 万ドルの国際賞金レースだ。2015 年12 月31 日までに月面に純民間開発の無人探査機を着陸させ、着陸地点から500m 以上移動し、指定された高解像度の動画や静止画データを地球に送信することを目指し、世界10 カ国以上から18 チームが参加している。