【書評ウォッチ】危険すぎる中国産食材 加工されて出回る現状

   とんでもない話だ。『日中食品汚染』(高橋五郎著、文春新書)は、農薬や重金属まみれの危険食材が規制をすり抜けて出回る現状を告発している。中国野菜に不安を感じる人はすでにいるはずだが、問題はエキスやスープの素に加工されたら表示もされないこと。知らないうちに買わされる恐怖が際限なく広がる。カレールー、麻婆豆腐の素、チョコレート、昆布粉末……それが有毒・危険などとは冗談じゃない。早く何とかしなければいけない。【2014年5月11日(日)の各紙からⅡ】

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原産地不明の加工食材や添加物に化けて


『日中食品汚染』(高橋五郎著、文春新書)

   日本の食料自給率は39%(2012年度カロリーベース、農水省算出)。60%を輸入に頼り、そのうち14%が中国産だという。中国では抗生物質を投与された豚肉がざらで、遺伝子組み換え食品の区別も怪しい。鉱山から流れ出た重金属が農地や農業用水を汚染しているとも報じられている。こうした食品汚染とガンや先天性異常と関係性も指摘される。

   「だったら中国産食品なんか食べなければよいじゃないか」とは言い、現に2007年にアメリカでは中国産でないことをアピールする「チャイナフリー」の表示運動が始まっている。しかし、問題は汚染食品が粉にされ、原産地のわからない食材に化けることだ。

   ほとんどが原産地不明の加工食材や添加物として輸入されていることを、現代中国の農村経済や食料問題を調べる著者が訴える。中国産ホウレン草が野菜エキスとして輸入され、やがて日本人の食卓に。内容は恐怖の非表示汚染食品図鑑といってもよさそうだ。

   「知らず知らず食の安全と信頼が脅かされている」と、東京新聞と中日新聞の小さな無署名書評は指摘する。原産地を隠した危険食材がスーパーやコンビニ、外食の店に並べられているということか。

日本人・企業のかかわりは?

   中国だけが悪いわけではない。開発や輸入、加工や販売の過程では日本人・企業もかかわっているはずだ。でなければ、食卓に届くわけがない「メイドインチャイナ」の表示ぐらいはきちんとしてくれ。現状は非良心的という以前に、危なすぎる行為ではないか。

   <もう一冊>中学、高校のスポーツ系部活の実情を『運動部活動の戦後と現在』(中澤篤史著、青弓社)がまとめた。日本特有の人間作りを掲げながら技術や経験がない教師が顧問に。生徒はやるのが当たり前? かげの部分まできまじめに考えてある。

   ただ、論文調の構成に加えて5000円近い値段も普通の市民にはハードルが高すぎる。「平易な新書になるとうれしいが」と朝日新聞の書評で荻上チキさんが指摘するとおりだ。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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