いよいよ「ネット解禁」参院選 その「勝ち方」「問題点」に迫る
来月(2013年7月)行われる参院選からネット選挙が解禁される。フェイスブックやツイッターを使った選挙運動が可能になり、これまでにない選挙戦が展開されそうだ。若者の投票率は上がるのか。日本の政治に変化が期待できるのか。公示予定日まで1か月を切ったいま、ネット選挙の問題点を整理しておこう。
J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」でも特集記事を公開中。
選挙のプロが明かす集票のノウハウ
『ネット選挙時代の空中戦完全攻略本』
『ネット選挙時代の空中戦完全攻略本』
ネット選挙解禁の影響がもっとも気がかりなのは立候補を予定している候補者本人だろう。どうすれば有権者の心をつかむことができるのか。どうすれば他候補に票を奪われないですむか。何が許され、何が違反なのか。そうした不安や疑問に答える様々な解説本がでているが、文芸社の『ネット選挙時代の空中戦完全攻略本』(著・小野五月、1995円)は、選挙のプロによる指南書である。
著者は商品開発や販売促進に携わり、IT関連の会社経営も経験し、約10年前にボランティアをきっかけに選挙の世界に入ったという経歴の持ち主。政治家のホームページやメールマガジンの作製にもかかわっている。蓄積した知識と体験に裏付けられたネット選挙時代のノウハウを伝授する。ネットに疎い選挙関係者の心強い味方となろう。
無名の議員を大統領に押し上げた力
『「オバマ」のつくり方 怪物・ソーシャルメディアが世界を変える』
『「オバマ」のつくり方 怪物・ソーシャルメディアが世界を変える』
日本のひと足先を行くアメリカのネット選挙。お手本は無名の上院議員だったバラク・オバマを大統領の座に押し上げた2008年の大統領選だ。阪急コミュニケーションズの『「オバマ」のつくり方 怪物・ソーシャルメディアが世界を変える』(著・ラハフ・ハーフーシュ、訳・杉浦茂樹、藤原朝子、1785円)はオバマの選対チームにいた著者が、史上空前のネット選挙といわれたこの大統領選でオバマ陣営がフェイスブックやブログ、ツイッターなどのソーシャルメディアをいかに有効に活用したか、その戦略を徹底解剖したものだ。
ソーシャルメディアによって、何百万人もの市民が動き、何億ドルという献金が集まり、アメリカが変わった。この新しいメディアは選挙にだけ有効なのではない。企業が消費者とコミュニティーを築くうえでも大きな力を発揮すると説く。
若者参加で日本の政治は変わるのか
『【拡散希望】ネット選挙「解禁なう」』
『【拡散希望】ネット選挙「解禁なう」』
ネット選挙解禁へ足踏みが続いた日本だが、解禁を予想して早くからネット選挙の光と影を報じていたのがニュースサイト「J-CASTニュース」だ。ジェイ・キャストからの『【拡散希望】ネット選挙「解禁なう」』(著・J-CASTニュース編集部、kindle価格100円)は、昨年12月(2012年)の総選挙を前に「Net@総選挙」と題し11回にわたって連載した特集記事を電子書籍化したものだ。
過去何回か法案が提出されながら解禁に至らなかった事情、市民が勝手にツイッターでつぶやいて「見切り解禁」が続出した理由、各政党や党首の対応、アメリカや韓国の実情など多方面にわたって取り上げ、その是非と論点を紹介している。若者の投票率アップと日本の政治が変わる可能性についても考察、ネット選挙解禁の全体像をコンパクトにまとめている。