春告げる土佐文旦のさわやかさ グレープフルーツと似ているが…
冬の寒さも少しずつやわらぐ今日この頃、全国的には少々めずらしいご当地果実が出荷の最盛期を迎えている。2月、3月が旬の露地物の「土佐文旦」だ。
重さ500グラムでずしりと重い
さっぱりと「トゲ」のない酸味で食べやすい
文旦はブンタン、ボンタンなどと呼ばれるはっさくやグレープフルーツの近種で、四国や九州で多く栽培されているという。なかでも、高知県の土佐文旦は名高い。筆者が住む関東地方などではなかなか入手できないが、そんな土佐文旦もネット上で簡単に買えてしまう。そこで今回は、高知で80年以上果物を販売しているという老舗の武田青果から「お試し用」の「2Lサイズ、2.5キロ」(1800円)を取り寄せた。
土佐文旦の2Lサイズは1個が約500グラム、直径が10センチ程もある。普段、目にする柑橘類のなかでは最大級の大きさで、手にするとずしりと重い。黄色をした外皮は厚く、ゆずなどを思わせる芳香を放っている。外皮と中の身の間にも、厚い白ワタの層があり、そこから身を取り出せば、つやつやと半透明に輝く薄黄緑色。中心部にはタネもかなりあって、グレープフルーツを思わせるところがある。
「和風」柑橘果物の心地よさ
しかしグレープフルーツのようなあふれ出るジューシーさ、鮮烈さをなんとなく予想して文旦を食すと、ちょっと拍子抜けするかもしれない。いよかんだと思って食べたら、はっさくだったというような、裏切られた感じである。
ちょっと物足りない――と思いながら、しばらく食べ続けているうちに、そのおだやかな甘さとトゲのない酸味が徐々に心地よくなってきた。後口もべとつかず、さっぱりとして食べやすいことに気がつく。派手さはなくて、第一印象は地味なのだが、たおやかに口になじむ。その点、文旦はグレープフルーツとはまた異なる「和風」とでも言うべき美点を持った柑橘果物なのであった。
商品名:露地土佐文旦(お試し用)
製造:武田青果
サイズ:2Lサイズ、2.5キロ
価格:1800円