生ぬるい「いじめ対策」と訣別を 道徳教育など無意味、「法」導入せよ
2012-11-01 02:30:04
滋賀県大津市の男子中学生がいじめを受けて自殺した問題は、記憶に新しい。マスコミで大きく報じられ、過去にいじめを経験した芸能人がメッセージを発してもいた。なぜいじめは繰り返されるのか。いじめのメカニズムを分析し、解決策を提示しようと、書籍『いじめ加害者を厳罰にせよ』(840円、KK ベストセラーズ)が発売された。
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外部から遮断された「聖域」の問題点
『いじめ加害者を厳罰にせよ』
著者は、長年いじめを研究してきた明治大学文学部准教授・内藤朝雄氏だ。題名には、これまで学校でいじめられてきた何世代にもわたる子どもらの「学校に法律さえ入れば、こんな目に合わずにすんだのに」という思いがこめられている。
同書は、学校でのいじめ蔓延の原因について、外部から遮断された場所での集団行動の強制と、友だちであることを無理強いする点にあると分析する。これらにより子どもらは「ねっとりと絡み合うような『濃密な付和雷同』を生きて」おり、仲間の関係維持が何よりも優先されるため、時にはいじめを行ってしまう。教育の名の下に「聖域」とされている学校は、法やルールを持ち込むことが困難なため処罰をすることもできない。
著者はいじめ解決策について、従来までの道徳教育などの「心」にフォーカスした対応は無意味であり、場合によっては有害だと退ける。そして、短期的には「学級制度の廃止」と「学校への法の導入」を、中期的には「1つの学校に生徒を所属させる制度の廃止」を掲げ、いじめ問題を制度面から解決することを唱えている。
2012年10月下旬に出たばかりだ。