助けてくれない学校、警察…「いじめ」で殺される前に 「史上最強」の「告発マニュアル」
大津いじめ事件がマスメディアで大きく取り上げられたことを機に、各地の学校における陰惨ないじめ事件の報告が相次いでいる。しかしこの「いじめ問題」は今に始まった話ではなく、10年以上前の2000年にも事件が多発し社会的な問題となっていた。
「動かないのなら、動かせばいい」
「いじめ少年犯罪に宣戦布告」(リーダーズノート出版)
名古屋では、5000万円以上の恐喝事件が発覚。被害少年は親とともに警察へ被害届を出したものの、その日に、「チクった」としてめった打ちにされた。栃木では、少年が2か月連れ回され、熱湯をかけられ火であぶられるなどの暴行を受けた挙句、ネクタイで絞め殺された。親の捜査要請を警察は放置し、「見殺しにした」。千葉の少女は、「HELP」とメモを残しながら、自殺した。
現在も報道では、学校や教育委員会、警察の消極的な対応が指摘されているが、まがりなりにも法治国家の日本で、なぜ、助けてもらえないのか。いっそのこと、「学校や警察が動かないのなら、動かせばいい」――そんな問題意識から生まれた「史上最強のいじめ告発マニュアル」が2012年9月に電子書籍化された『いじめ少年犯罪に宣戦布告』(リーダーズノート出版、333円)だ。
焦点を当てたのは、「いかに報復(仕返し)されずに、被害を止めるか」。実は、いじめを受けていると相談した者は、相手に知れるとさまざまな仕返しを受ける。そのため匿名での告発方法に、ことさらページを割いた。
暴力を受けたら119番通報
警察庁と警視庁の協力のもと、どういった証拠や「被害記録」が有効かを探り、約1800人の被害体験者にアンケート調査した。そのなかで挙がった
・匿名で学校に訴える方法
・警察に、被害届や上申書を出す場合の注意。
・内容証明郵便の活用法
・「被害記録」の作り方
・どんな機関にどんなふうに相談したら 効果的か
をマニュアル化した。
この本は、いじめの本質を議論しない。ただ、遺書を書き、自らの死をもって告発しようとするまでに追い詰められた被害者に、声を出すための情報を徹底して示す。
一例を挙げれば、119番通報。実は救急隊員や医師は、他害で犯罪性があると判断すれば、警察へ通報する義務がある。こうして通報してもらったほうが、自分でやるよりも警察は動きやすく、被害の立証も容易だ。病院や警察から連絡がくれば学校もうやむやにはできないし、救急車で運ばれるほうが報復も受けにくい。自分の身を守りながら一気に相手を封じ込めるやり方と言える。
現在、楽天のKoboでのみ取扱中(近日中に紀伊國屋書店BookWeb plusなどで、配信予定)。