話題の「異端児ビール」は「1時間かけて飲むべし」 目からうろこの「正しい飲み方」とは
マーケティングが求める「一般受けする味」を目指さず、あえて現場の技術者にとことんまで「作りたい味」を追求させた「異端」のプレミアムビール「グランドキリン」(キリンビール、2012年6月19日発売)が話題を呼んでいる。
以前J-CASTモノウォッチでも紹介したとおり(「現場の好きにさせた結果がこれだ 営業呆然!?マーケティング無視の「最強」ビール」)、国産ビールらしからぬ濃厚なコクと香りが売りで、ブラインドテスト(2012年2月)では「しっかり味のビールを好む男性層」の圧倒的支持を受け、他の商品を抑えて人気No.1に。一方で「軽い味のビールを好む男性層」ではなんと最下位と、極端な評価の別れぶりがその「異端」たる所以だ。
瓶から「直飲み」するのがベスト
「グランドキリン、本当に言うほどおいしいの?→……う、うまい!」
「賭け」ともいえる企画にも見えたが、出荷数は発売1か月で約5万ケース(大びん換算)を記録、上記J-CAST記事へのアクセスも好調で、モノウォッチ・ランキング1位を何度も繰り返し記録するなど、最近のビールに飽き足らぬ消費者からの熱い注目を集めている。
そんなグランドキリンをより深く楽しむための「正しい飲み方」が存在するらしい。開発に当たった醸造技術者・蒲生徹さん直伝の方法を聞いた記者が、実際に試してみることにした。
まず基本は、瓶からそのまま「直飲み」することだという。グランドキリンの瓶は、通常と違い、口の部分がかなり広めに作られている。そのため、コップで飲むよりも香りを楽しみやすい。特に一口目は「瓶から直接、喉に当てるように」飲むべし、とのことだ。
温度上昇につれ、香りや味に変化
さらに蒲生さんは、1本を1時間ぐらいかけてじっくり飲むといい、と語る。えっ、それではせっかくのビールが温まってしまうのでは? いったいなぜ――
「グランドキリンは温度が上昇するにつれて香りや味に変化が出るように設計しているからです。これは通常のホップ使用方法に加えて、発酵中にひと手間かけたアロマホップを浸漬するディップホップ製法を使用しているからこそなせるワザです」
半信半疑ながらあえてゆっくり、ちびちびと飲んでみる。10分、20分と経って少し温度が上がるにつれて、特に香りがいっそう豊かに感じられるようになってきたことに気づく。さらに30分以上経つと、味のほうにもどこか甘みが出てきた。
こうした変化を楽しみながら味わっているうちに、1時間はあっという間に過ぎ、瓶も空に。味ばかりか、飲み方までも「異端」。これこそが「グランドキリンらしい楽しみ方」だと蒲生さんは胸を張る。
現在、全国のセブン-イレブンで販売中だ。価格は238円。