イチローの「新たな挑戦」から学ぶ ヤンキース移籍と「前へ進む力」

   大リーグのマリナーズからヤンキースへ電撃移籍したイチロー。「環境を変えて刺激を求めたいと思った」。日米をまたに掛け、数々の輝かしい記録を打ち立てながら、なお挑戦を続ける38歳。イチローとは何者か。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。

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孤高のプレーヤーの素顔と本音


『イチローイズム 僕が考えたこと、感じたこと、信じること』
『イチローイズム 僕が考えたこと、感じたこと、信じること』

   インタビューは難しい。相手が気難しい職人肌の場合は、とりわけそうだ。しかし、いったん、ツボにはまれば、本人さえ気づかなかった内面を引き出すことができる。メディアの前で多くを語らず、謎めいた印象のあるイチローへの取材は難しい部類に属するだろう。集英社文庫の『イチローイズム 僕が考えたこと、感じたこと、信じること』(著・石田雄太、580円)は、300日にわたる独占取材から信頼関係を築き、アスリートとしての素顔と本音、日常のプライベートに関することまで孤高のプレーヤーの魅力を聞き出すことに成功した。

   「野球記者になりたい」とNHKに入りスポーツ番組のディレクターを務め、現在はフリ―のスポーツジャーナリストとして活躍する著者のヒット作だ。

逆境を味方に飛躍する


『イチローの逆境力』
『イチローの逆境力』

   狙い澄ましたようにヒットを打ち、涼しい顔で盗塁を決め、守備に入れば矢のような返球で得点を阻む。イチローはスイスイと名選手への階段を駆け上ったように見えるが、祥伝社黄金文庫の『イチローの逆境力』(著・児玉光雄、580円)によれば、イチローほど逆境を味方につけて成長した選手はいない。

   「イチロー式目標設定術」「視覚化テクニック」「逆境克服法」などイチローの思考や行動パターンを学び、仕事や人生での成功に役立てようというのが本書の趣旨だ。著者は京都大学工学部卒業だが現在、鹿屋体育大学教授。20年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者としてプロスポーツ選手のメンタルカウンセラーも務めている。他にもイチローに関する著書多数。

突っ張り、尖がりと正面から向き合う


『イチローの流儀』
『イチローの流儀』

   イチローは何を考えているのか。あの斜に構えたような態度はどこから来るのか。ぶっきらぼうに響く言葉の奥に何が込められているのか。新潮文庫の『イチローの流儀』(著・小西慶三、420円)は、共同通信の記者としてオリックス時代から長年にわたりイチローを見続けてきた著者がイチローのナゾのすべてに迫る。

   大リーグ通で知られる向井万起男が、こう評している。「『イチローの流儀』には他のイチロー本と決定的に違う点が一つある。イチローの突っ張り、尖った言動と真正面から向き合い、これを正直に過不足なく書いているということだ」。イチローのグラウンドにおける活躍を評価しながらも、その言動の外見的な印象から何となく違和感を抱いていた向きには是非おススメしたい1冊だ。

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