気付いたらまた「オウム事件」 そうならないために

   現実の社会が生きにくいと悩む若者たちが心の拠りどころを求めたオウム真理教。それが凶悪な事件を起こす犯罪集団へと暴走した。最後の特別手配犯、高橋克也容疑者(54)が逮捕されたが、信仰は今も続いているのか。改めて問う、オウムとは。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。

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連合赤軍とオウムにみる日本の病根


『連合赤軍とオウム わが内なるアルカイダ』

『連合赤軍とオウム わが内なるアルカイダ』

   集英社の『連合赤軍とオウム わが内なるアルカイダ』(著・田原総一朗、1995円)はテレビ番組「朝まで生テレビ」や「サンデープロジェクト」で日本の病根に鋭くメスを入れてきたジャーナリストで評論家の著者が、戦後社会に大きな衝撃を与えた連合赤軍とオウム真理教、それに国際テロ組織アルカイダについて、関係者へのインタビューを通しながら自分の内なる問題として取り組んだ1冊だ。

   これら犯罪集団の類似点としてあげられるのは、よりよい社会をめざし理想を高く掲げた高学歴の青年たちが教祖やリーダーの命令に服従し、集団リンチや殺害に手を染め、犯罪への道を突っ走っていった点にあるといえよう。「理想」がなぜ犯行につながったのか。閉塞感漂う現代社会にいまなお突き付けられている問題だ。

心優しい外科医がなぜ


『オウムと私』

『オウムと私』

   オウム事件で多くの人が胸に抱いたのは、心優しい有能な心臓外科医であった林郁夫受刑者がなぜ松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚のような男にひかれ、無差別殺人である地下鉄サリン事件の実行犯となっていったのか、という疑問だ。文藝春秋の文春文庫『オウムと私』(著・林郁夫、790円)は林受刑者自身がそれにこたえるように獄中で綴った苦悩と悔恨の記である。

   父が医師、母が薬剤師という開業医の6人兄弟の5番目として1947年に生まれた。世の中の役に立つ人間にと育てられ、慶応中等部、慶応高校を経て慶応大学医学部に進む。妻も医師だった。世間的には何不自由ない幸せな生活を築いているように思えたが・・・。ふとしたきっかけで、オウムの世界へはまり込み、取り返しのつかない大きな過ちをおかしてしまう。

洗脳の恐怖からわが身を守るために


『オーディオブック(CD)洗脳護身術』

『オーディオブック(CD)洗脳護身術』

   オウム真理教にみられたように、将来を嘱望された優秀な人材や善良な市民がカルトや悪徳商法などによって、たやすく洗脳されるケースが目立つようになった。パンローリングの『オーディオブック(CD)洗脳護身術』(著・苫米地英人、3150円。三才ブックス刊をオーディオ化)は、そうした洗脳の恐怖から身を守るための「護身術」を伝授しようというものだ。

   著者は脳機能学者、計算言語学者などの肩書があり、西洋哲学、東洋哲学、現代心理学、認知科学にも精通しているといわれ、オウム信者の脱洗脳を手掛けたことでも知られる。目次には「洗脳護身術を学ぶために」「気功を用いた洗脳術」「洗脳の定義、カルト、そして宗教」「洗脳されないために」といった項目が並ぶ。

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