「ガン再発」もう怖くない 経済的・心理的負担を軽くする新保険登場
かつてガンになったことがあるけど、やっぱり再発が心配。体だけでなく入院費に手術代と出費がかさみ、蓄えは底を突き、あんな思いはもうしたくない―。
こんな不安を抱いている人は少なくないはずだ。なぜなら今や日本人の2人に1人がガンにかかるほどポピュラーな病気。まして医療の進歩で早期発見・早期治療すれば完治できる。ガンは決して死の病ではなくなった。にもかかわらず引き受けてくれる保険は少なく、それも既往症は補償外。そんなガンの再発に伴う経済的・心理的負担を軽減してくれる新しい保険が登場した。
退院後2年すれば申し込める最短ガン保険
アメリカンホーム保険ウェブサイトから
商品名はずばり「ガンなったことがある方も入りやすい みんなのほすピタる 緩和告知型ガン保険」(引受基準緩和型特約付帯 新・医療総合保険)で、4月16日から販売が始まった。開発したのはダイレクト型保険の老舗であるアメリカンホーム保険だ。過去2年以内にガンで入院・手術しておらず、健康状態に一定の基準を満たしていれば申し込むことができる。すべてのガンを補償してくれて、治癒してからの待機期間が2年というのは国内で最も短いのが特徴。条件を緩めた分、申し込める対象者も大幅に広がりそうだ。
10年定期タイプと一生涯補償する終身タイプの2種類がある。加入できるのは満20歳から80歳まで。
申し込み条件を詳しく見ると、過去2年以内にガンで入院、手術したことがないこと以外に、最近6か月以内にかぜ・インフルエンザを除き病気で入院・手術を受けたことがなく、医師に入院・手術を勧められたことがない、過去2年以内にガン、肝硬変、肺気腫、肺線維症、塵(じん)肺、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群の診断をされていない、女性の場合には現在、乳房のしこり、乳腺からの異常な分泌物や出血の症状がないことも必要。
「ガンになったことがあっても入れる保険ない?」お客の声がきっかけ
開発に至った経緯はどんなところにあるのだろうか。
アメリカンホーム保険の商品開発部門長の鯉田淳さんは「すべてはお客さまの声が原点です。過去にガンにかかったことがあるけど入れる保険がないのかとコールセンターを通じて多く寄せられていました。それが開発の一番のきっかけです。さらにガンの治療が受けやすい環境が整ったことで、今後ガンを経験する人が増えてくるだろうとの思いもあります」と話す。
つまり、これからガンになるかもしれない人向けの保険だけでなく、ガンを経験したことがある人のための保険も大切になるとの見立てだ。
保険金額によってA、B、Cの3つのコースが用意されている。Aコースは1日の入院保険金が5000円、入院を伴う手術保険金が1回につき5万円、退院時の一時金が1回5万円などで、B・CコースはそれぞれAコースの2倍、3倍になる。保険期間開始日から1年以内は、保険金額が50%にはなるが、保険期間開始日前に医師に勧められていた場合を除き、加入前に発病していたガンの再発による入院・手術でも保険金が受け取れる。
すでに既契約者の好評を博している医療や健康相談に応じてくれる「安心ダイヤル24」、それに日本を代表する名医から診断や治療方針を聞くことができる「セカンドオピニオンサービス」も無料で利用できるのもありがたい。
保険難民にとっての救世主
新商品投入にあわせてアメリカンホーム保険は日本人のガン保険に対する意識調査も公表した。それによると不安に感じる病気は53.8%のガンがダントツ、80.2%が治療費・入院費を心配している。しかし、ガン保険の加入率になると4割に満たず、実際にガンになった時に保険に加入していた割合は52.3%と約半分。気持ちと行動に大きなギャップがある。驚くべきは、持病があり審査にパスしない可能性が高い「ガン保険難民」は全国で700万人に上り、将来難民になるおそれがある人は3400万人と推計している点だ。
みんなのほすピタる緩和告知型ガン保険は同社の既存のガン保険に比較して保険料でおよそ2倍と割高。それでもガン保険難民にとっては救世主になるのは間違いない。アメリカンホームは当面、女性を中心に10万件、保険料で50億円の販売を目指している。