改革者なのか、独裁者なのか 橋下大阪市長がめざす目的地
「橋下徹」。この名前が新聞、テレビに登場しない日はない。今や日本で最も注目されている政治家だ。その訴えるところがストレートであるがゆえに敵も多い。改革者なのか、独裁者なのか。対極的な2冊を取り上げる。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。
橋下構想の原点を知る1冊
『体制維新――大阪都』
大阪府を都に改編し日本再生の起爆剤としたい。それが、「大阪都構想」の狙いであり、橋下徹大阪市長が大阪府知事から鞍替えした大きな理由だ。文藝春秋の文春新書『体制維新――大阪都』(著・橋下徹、堺屋太一、893円)は、橋下氏本人とブレーンによる具体的な改革プランの書である。
一言でいえば、二重行政の無駄を省き、住民の意向をより反映しやすい行政組織につくりかえることをめざしている。これを掲げた橋下氏が圧倒的な支持を得たのは、閉塞状況が続く日本の現状を打破してほしいという期待もあったからだ。それに応えるように、衆院選向けに「船中八策」を打ち出すなど動きは急だ。「大阪から日本を変える」。橋下構想の原点を理解する手ごろな1冊となっている。
独裁体制の地盤強化と批判
『「仮面の騎士」橋下徹 独裁支配の野望と罠』
橋下徹大阪市長の政治手法への警戒感もある中、講談社から発売された『「仮面の騎士」橋下徹 独裁支配の野望と罠』(編・大阪の地方自治を考える会、1470円)は、キャッチコピーで「連勝連勝の選挙戦の陰で露(あら)わになる暴君の素顔を、部下たちがついに明かす」とうたう。
編者の「大阪の地方自治を考える会」は前堺市長や前吹田市長らがメンバー。橋下氏が代表をつとめる大阪維新の会を「「独裁への危険な本質」として批判するとともに、大阪都構想についても「大阪府民のための改革ではなく、目的は橋下独裁体制の地盤強化」と斬って捨てる。「大阪都」に生まれる新たな利権にも言及するなど、大阪府知事時代を中心に橋下政治を糾弾する内容となっている。