忘れていたものを取り戻そう 注目度高まる「絆」関連書籍

   日本漢字能力検定協会は12月12日、2011年の世相を表す漢字として、最も応募数の多かった漢字が「絆(きずな)」だったと発表した。国内では東日本大震災が、また、海外でもニュージーランド地震やタイでの洪水被害などがあり、そうした災害経験から、身近な人々との「絆」を再確認したようだ。当然、書籍の分野でも、さまざまな「絆」の大切さを知らせるものへの注目が集まっており、今回はその中でも特にチェックしておきたい本を紹介する。(J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/でも公開中)

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「もし人生が残りあと1時間だったら何をするのか・・・」


『君に贈る最後の手紙』

   まず最初は、日本実業出版社から発売されている『君に贈る最後の手紙』(著リチャード・カールソン/クリスティーン・カールソン、09年1月発売、定価1050円)。版元のPR担当者が、「ふだん、家族や友人、恋人など大切な人に『ありがとう』と伝えきれていなかったり、『なんとなく』毎日を過ごしていたり・・・という人にぜひ読んで欲しい」と薦めるこの本が伝えるのは「家族の絆」の大切さだ。

   リチャード・カールソン氏は、世界100か国以上で出版され、累計2600万部を売り上げた大ベストセラー本『小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)の著者だが、出張中の飛行機内で急性肺塞栓のため45歳の若さで急逝した。そんなカールソン氏は、亡くなる3年前、18回目の結婚記念日に、妻のクリスティーンさんに1通の手紙を渡している。冒頭にはこうあった。「もし人生が残りあと1時間で、たった1本しか電話がかけられないとしたら、誰になにを話すだろう・・・。なぜ今、そうしないのだろう?」

   最愛のパートナーへの感謝や自らの愚かな行いへの悔い、また人生を送れるのであればこうしたいなど、心の内を率直に綴った文面は、最後を看取れず悲しみに暮れるクリスティーンさんにとって「救い」となるものだった。

   「家族」や「夫婦」「親子」など絆の大切さが問われている昨今だけに、ぜひとも読んでおきたい一冊だ。

累計49万部販売、読み聞かせに最適テキスト


『子ども版 声に出して読みたい日本語』

   次は、ベストセラー『声に出して読みたい日本語』を幼児・低学年向けの朗読用テキストとして編集された画期的シリーズ、草思社『子ども版 声に出して読みたい日本語』(全12巻、編著・齋藤孝、定価各巻1600円)を紹介したい。1巻『どっどど どどうど 雨ニモマケズ/宮沢賢治』(絵・下田昌克)から12巻『秘すれば花なり/名言』(絵・金子美和子)まで揃った同シリーズは、累計で49万部を売り上げており、楽しみながら国語力や読解力がアップする教育効果絶大の「ツール」として話題を呼んでいる。2011年9月上旬には全巻重版となり、その注目度はさらに高まった。

   『どっどど どどうど 雨ニモマケズ/宮沢賢治』のレビューには、こんなものがある。

「この本は、音読することでその価値がわかる楽しい本です。 子供に読み聞かせする用として購入したのですが、同時に、大人である自分も日本語の美しさを感じさせてくれる所があり、大変楽しめます。 挿絵のバランスもよくとてもよい本だと思います」

   子どもたちのすこやかな成長はすべての親にとっての願いだ。名作や俳句、古文、落語・口上などから構成したこのテキストは、そうした成長の大きな助けになるに違いない。

「じっさいに背中をおしてくれた」


『HAPPINESS』

   最後は、ちょっと変わった趣向のものを。新人物往来社から2011年1月に刊行された『HAPPINESS』(定価1470円)は、かわいい動物のあかちゃんの写真と、勇気をくれる言葉をぎゅっとつめこんだメッセージブックだ。見開きごとにあらわれる癒しの写真と、世界中の作家、哲学者、俳優、音楽家たちの愛の名言は、恋人や友達、両親――大好きなひととのつながりを思い出させてくれる。

   3月の東日本大震災後に刊行された第2弾『EARTH いのちの詩(うた)』(2011年6月刊行/定価1470円)は、「いのち」がテーマだ。いまこの瞬間にも失われてしまうかもしれない世界中の美しい風景と、自然をうたった詩がこころに響く。あたりまえの生活がどれほどとうとく、はかないものか、神秘的(ときに奇跡的)な自然の情景がうったえかけてくる。

   宝石のようなメッセージをどのように受けとめるかは、読み手次第。読者からは、「じっさいに背中をおしてくれた」「読むたびに解釈がかわる」という声が届いている。

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