【ご当地グルメ食べまくり】石川・輪島の丸柚餅子は上品の極み
木の葉落ち、紅葉深まり行く秋に、お茶などと共にしみじみと賞味できるお菓子があるといいな――と、そんなことを思いつつ、東京・日比谷駅にほど近い石川県観光物産PRセンター「加賀・能登・金沢 江戸本店」を訪れた。
約半年も自然乾燥させる
ずしりとした丸柚餅子と、「お餅の玉」の玉柚餅子
すると、店の棚に、おあつらえむきのお茶菓子があった。ちょこんと鎮座していた「丸柚餅子」(まるゆべし)。輪島市の「柚餅子総本家中浦屋」の製造で、値段は1個1575円。
贈答用途を意識していると見えて、立派な紙箱に入っており、詳しい説明書きもある。読めば、大変な手間暇をかけて作られているとわかる。大粒の柚(ゆず)を、皮だけ残してくりぬき、味をつけた餅米を詰める。それを数回蒸したあとで、約半年も自然乾燥させるそうだ。
柚餅子(ゆべし)と呼ばれるお菓子は各地にあるが、丸柚餅子は、輪島の名産だという。なかには「ゆず」が入ってない柚餅子まであるそうだから、個性豊かだ。同じく中浦屋の「玉柚餅子」(6粒入・315円)もあわせて買ってみたが、これは小さな「お餅の玉」であった。
柚のヘタもついている
丸柚餅子は、見たところ柚の外見をしていて、ヘタもちゃんとついている。果物のつもりで持てば、ずしりと重い手応えがあり、包丁で輪切りに切るのは、若干の力が要った。なお、丸柚餅子は、弱火で蒸すと柔らかくなり、その後置いて置けば、好みの硬さにできるという。
輪切りにすると、どことなく茶色の漬物を思わせる。歯ごたえは羊羹(ようかん)か、硬めの餅かという、もちっとした感触があり、甘さは控えめ。そこに柚の皮の香りと苦みが、おくゆかしく、品のよい印象を与える。こんなお人柄、いや菓子柄には、感じ入らざるをえない。静々と深々と頭を下げたくなる銘菓であった。
商品名:丸柚餅子、玉柚餅子
製造:柚餅子総本家中浦屋
価格:1個1575円(丸柚餅子)、6粒入・315円(玉柚餅子)