人気拡大「ノンアルコール飲料」 ママ世代に支持広がる理由

   ビールテイスト飲料やノンアルコールカクテルといった「ノンアルコール飲料」が近年、人気を集めている。ライフスタイルの変化とともに、気軽に「お酒の気分」を味わいたい消費者が増えてきたことが背景にあるようだ。

   アルコールを含まないことで女性、特に「ママ世代」に支持が広がっているという。

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「のんあるママ」の存在


サントリー・スピリッツ事業部の酒巻真琴さん

   ベネッセコーポレーションは2011年9月1日、6歳までの子どもをもつ25~39歳の主婦943人に実施した「ママ会」に関する調査結果を公表した。8割以上が「ママ会」参加の経験があり、「ママ友」の家や自宅で子育てや家事に関する情報を交換したり、互いの交流を深めたりしている。

   注目したいのは、「今後ママ会で飲みたい飲料」の回答内容だ。コーヒーや紅茶といった「定番」を押さえてトップに立ったのは、ノンアルコール飲料。「ママ会がおとなの時間になる」「気持ちが楽しくなって盛り上がると思うから」というのが理由だ。

   実際に「ママ世代」には、既にノンアルコール飲料が定着しつつある。普段の生活の中でもノンアルコール飲料を飲むと答えた人は50%で、2人に1人が「のんあるママ」なのだ。昼間でも、また家事の後片付けが残っていても、気にせず気軽に飲めるというのが大きな特徴といえよう。

   すでにビールテイストのノンアルコール飲料がヒットしているが、サントリー酒類ではノンアルコールカクテル『のんある気分』を10月4日に発売する。サントリーは2010年、ビールテイスト飲料「オールフリー」を出しており、『のんある気分』は言わば「第2弾」のノンアルコール飲料だ。サントリー・スピリッツ事業部の酒巻真琴さんは「お客様から『普段飲んでいるカクテルの代わりになるようなノンアルコール飲料も欲しい』との要望をいただきました。ビールテイストに加えて、色々な"ノンアルコール"をその時の気分で選びたいという声が多かったんです。」と話す。

お酒の複雑な香りを研究し「らしさ」を追求


(左から)ジンライムテイスト、カシスオレンジテイスト、ソルティドッグテイスト

   かつてはノンアルコール飲料というと、車を運転してきたときのように「仕方なく」飲むケースが多かった。近年はむしろ積極的に「ノンアルコール飲料で、お酒の気分を楽しみたい」という消費者が増えている。そのため、清涼飲料と明らかに違いを出せるように製法にはこだわったと酒巻さん。お酒には複雑な香りの成分がある。そこで、ジンライムテイストやカシスオレンジテイスト、ソルティドッグテイストそれぞれのノンアルコール商品に「お酒らしい味わい」が生まれるように、微妙な苦みや独特な香りを出せるよう試行錯誤を重ねたという。

「ママ会」で「気兼ねなく飲める」

   「お酒を思わせる飲みごたえや満足感を出すのに非常に苦労しました。中味開発の担当者と、何度も試作を繰り返しながら納得できる味わいに仕上げたんです」と酒巻さんは話す。長年リキュールやカクテルを開発してきた歴史をもつサントリーだけに、下地となるノウハウや知識が蓄積されている。「お酒らしい味・おいしさとは何か」を徹底的に追求し、香りの成分などを細かく分析したという。その結果、ノンアルコールながら、お酒を飲んだような気分を楽しめる味わいに仕上がった。アルコールだけでなく、カロリーや糖類もゼロに抑えられている(g/100ml、栄養表示基準による)のはうれしいポイントだ。

   開発前に、女性消費者からは「気分だけでもお酒の雰囲気を味わいたいことがあるんです」という声が寄せられたと酒巻さんは明かす。「のんある気分」は、例えば「ママ会」のように、子どもと一緒だったり後に用事が控えていたりしてお酒が飲めない状況でも、お酒を飲んだときの楽しい気持ちや雰囲気をもたらしつつ「気兼ねなく飲める」点で、お酒の代わりになっているようだ。商品名や缶のデザインを柔らかいイメージにしたのも、「気兼ねなさ」を表現するためだという。

   ママに限らず、健康が気になりだした「パパ世代」、忙しい女性など、「さまざまなシーンに応じて楽しんでほしい」と酒巻さんは強調した。

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