全米が爆笑した「聖書男」 ウソや性欲ニモ負ケズ
なんとも変わった人物がいるものだ。ニューヨークで「聖書の教え」の数々を1年にわたって実践したのだという。そんな男の爆笑体験日記『聖書男(バイブルマン) 現代NYで 「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記』(著A・J・ジェイコブズ、訳・阪田由美子)が、阪急コミュニケーションズから2011年8月31日に発売された。
信仰とは無縁の家庭
『聖書男(バイブルマン) 現代NYで 「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記』
ジェイコブズ氏は「エスクァイア」誌のシニア編集者で「エンターテイメント・ウィークリー」のライターをしている。「聖書の教え」を実践したからといって、彼が敬けんなキリスト教徒であるわけではない。ユダヤ人ではあるが信仰とはほとんど縁のない家庭に育ち、信仰の話題は、父親の給料や、姉がクローブ入りタバコを吸っていることと同様にタブーに近かったという。そのジェコブズ氏の今回の「冒険」目的は、聖書における「層のように積み重なった解釈をはぎとり、その下にある真の聖書を見出すこと」であった。
『ライアー・ライアー』をほうふつ
「罪人には石を投げよ」「生理中の女性に触れてはならない」「月の初めには角笛を吹きなさい」といった教えを、なんとか実行していく姿がおかしくも真摯に綴られている。
中でも、何話もかけて"シリーズ化"した「うそをつかないようにする」「性欲と闘う」は実にユニークだ。「うそ――」では、ジム・キャリー主演のヒット映画『ライアー・ライアー』をほうふつとさせる妻子とのドタバタ。「性欲――」では、ネット上にあふれるセクシーな広告などと闘い、部屋じゅうの写真や絵の"検閲作業"にとりかかる。さらには、仕事で若手人気女優のインタビューをすることになり、彼女の出演した映画のDVDを見ておかねばならなかったが、そこでも困惑。なぜなら「ぱっと見ただけでも、淫行、売春、性欲のオンパレードだから」。
「聖書」もマッ青の632ページ。読み応えがある。定価2730円。