結婚披露宴入場曲「ボディーガード」のあの曲、じつは別れの歌だった

   ヤマハミュージックメディアは2011年8月25日、新刊本『本当は怖い洋楽ヒットソング あなたの知らない、あの曲の本当の意味』(著・太田利之)を発売し、話題を呼んでいる。

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死刑囚に向けた「思い出のグリーングラス」


『本当は怖い洋楽ヒットソング あなたの知らない、あの曲の本当の意味』

   んんん? という書籍タイトルだが、つまりこういうことなのだ。本書で扱うのは1960年から70年代のヒットソング(洋楽)で、それらの歌詞は、我々が抱いていた勝手なイメージとはほど遠く、じつは「へ~っ!」「うそ~っ!」という衝撃な内容だったというもの。

   たとえば、伝説のカントリー歌手であるポーター・ワゴナーが1965年にリリースした牧歌的な印象の「思い出のグリーングラス」は死刑囚に向けた歌だった。2コーラス目までは、都会に住む男が故郷に思いを馳せるという内容だが、最終3コーラスになると一変する。故郷の夢を見て目覚めると、そこは暗い独居房で、すぐさま処刑場に連れて行かれるのだ。夢の中で出迎えてくれた父と母は「看守」と「神父」に変わっている。

キャンドルサービスしながら「お別れしましょう」

   ホイットニー・ヒューストンがケビン・コスナーと共演した映画「ボディーガード」のサウンドトラックとしてメガヒットした「オールウェイズ・ラブ・ユー」も、結婚披露宴での入場曲やキャンドルサービスなどで用いられているが、じつは受け取られているイメージとは好対照な歌詞の内容だ。「これ以上あなたといても、私は邪魔になるだけ。私はあなたにふさわしい女じゃない。悲しいけれど、お別れしましょう。だけど、あなたをずっと愛していくわ」というものだから、言葉も出ない。

   きれいなメロディーで、その場にはピッタリなのは認めるが、歌詞を知っている人からすれば、「異様」な光景に移るだろう。

薬物中毒の恐ろしさ歌う「ホテル・カリフォルニア」

   ただ、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」については、アメリカにおける薬物中毒の恐ろしさを歌っているということを知っている人も多いだろう。ジャケットに使われている写真はビバリーヒルズに実在する5つ星ホテル「ザ・ビバリーヒルズ・ホテル」だが、これは、商業主義に絡めとられ、ぜいたくな暮らしとひきかえに、商品としての楽曲を売り続けることを強いられた70年代のロッカーの堕落に対する揶揄(やゆ)、言い換えれば「コマーシャリズムの誘惑は、中毒性の強い麻薬だ」との警鐘でもありそうだと著者は言う。

   ほかに、「オール・ナイト・ロング」「この世の果てまで」「西暦2525年」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「サマータイム・ブルース」「メリー・ジェーン」「追憶」など全45曲を解説。ちなみに、この「45曲」というのは、シングル・レコードの回転数(毎分45回転)に合わせたのだそうだ。

   単行本、240ページ。定価1575円。

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