電力は「創・蓄・省」がカギ 災害にも強い太陽光発電の時代へ
東日本大震災の影響で電力不足が深刻になる中、「限られたエネルギーをいかに効率よく使うか」が焦点となっている。同時に、長期的な視点で社会の発展を考えたときに、再生可能エネルギーへの注目度も増してきた。
自然エネルギーをつくり出し、蓄えて無駄なく使う――。このサイクルを実現するうえで適しているのは太陽光発電だといえそうだ。
電力を有効活用しながら消費活動も活発に
調達・物流コンサルタント、坂口孝則氏
電力不足は簡単に解決するめどが立っておらず、オフィスや家庭でも、さまざまな節電の取り組みが実施されている。
限られたエネルギーを有効に活用しながら消費活動も活発化するには、「エネルギーマネジメント(エネマネ)」の考え方が重要となる。エネルギーを使わないのではなく、家庭で「創(つく)る」「蓄える」「省く」の3つをトータルで実践する、という考え方だ。
短期的には大規模停電や、計画停電の実施を避けるためにピーク時の電力を抑えることが求められる。一方で将来にわたって持続可能な社会を維持していくうえでは、再生可能エネルギーの活用が欠かせない。国内の電力事情に詳しい調達・物流コンサルタント、坂口孝則氏によると、今日の太陽光や風力、地熱といったエネルギーによる発電は、国内における全電力量の6%程度に過ぎないという。この割合を増やすうえで現実的な選択肢は、すでに実用化が進んでいる太陽光発電の利用をさらに高めることだと話す。
太陽光発電は、エネマネの「創・蓄・省」の考え方に適している。日差しのある日中に電気をつくりだすが、これを蓄えれば夜間にも使えるからだ。蓄電池の開発が進めば、日中に蓄えておいた電気を夜遅い時間や、太陽の出ていない雨の日にも使える。ピーク時の消費を避けることで電気代の節約にもつながる。電力の供給量に左右されず、家庭で電気をつくっていつでも利用できるようになれば、生活や仕事のスタイル自体を見直す人が出てくるかもしれない。
発電量の「見える化」で省エネにつなげる
世界最高水準のモジュール変換効率を実現したパナソニック住宅用太陽光発電システム~HIT230シリーズ
限られたエネルギーの有効活用という「省」の点でも、太陽光発電は効果的だ。発電量はモニターを使って「見える化」できるため、消費者にとっては使っている電力量が一目瞭然となる。そのうえで、自分たちで効率的な電気の使い道を決めればよい。
電気の「つくり手」は電力会社から各家庭へと、言わば発電の「分散化」が進むと坂口氏は指摘する。その中でエネマネが浸透すれば、自分の価値観に合わせた快適な生活の実現も可能になるだろう。太陽光という自然エネルギーを利用して電力を無理なくつくり出し、無駄なく使うことが経済成長の一助となるかもしれない。
東日本大震災の被災地では、数あるインフラの中でも電気が最も早く復旧したところが多い。災害に強い「頼れるエネルギー」とも言える。消費者にとっては、目の前にある電力不足に対処しつつ、これからも豊かな生活を送る上でいかに電気を効率的に使うかとの発想や意識を維持することが、今後は重要となるだろう。