本当にあった! 靴磨き少年と世界的バイオリニスト、奇跡の物語
2011-06-29 12:28:51
『少年とバイオリン~音楽の神様からの贈り物~』
出版社のヤマハミュージックメディアが、「ある童話」の主人公(少年)のモデルとなった人物を捜している。「ある童話」とは、同社が2011年5月14日に発売した『少年とバイオリン~音楽の神様からの贈り物~』(作・滝一平、画・宇野亜喜良、解説・國分紘子)だ。実話に基づいて書かれた作品で、1951年(昭和26年)という戦後復興期を舞台に、貧しい少年の身に実際に起きた奇跡を物語風に書き起こしてある。
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少年の名は「馬場たかし」といった。父は戦死し、弟は病死。母親と2人きりの貧しい生活のなか、「たかし」は、小学校5年から担任だった「松田先生」の影響でバイオリンの魅力に引き込まれ、マンツーマン指導を受けるようになる。だが、やがて戦況は悪化し、終戦。街は焼け野原になり、「松田先生」の消息は不明となった。
街で靴磨きをして母を助ける日々を送っているときに、世界的なバイオリニスト、ユーディ・メニューインが演奏会のため来日する。どうしても演奏会を聴きたい「たかし」は入場料500円を貯めようと、一層靴磨きに精を出す。5円、10円と、苦しい思いをして貯めていき、演奏会の当日に目標額に到達した。
ここからの話は、童話を読んでいただくことにする。メニューイン氏当人とのエピソードはもちろん、小銭を毎日預かってくれたプレイガイドの女性、そして「松田」先生とも泣かせる物語が展開される。
そもそも、この話が世に出るきっかけとなったのは、阪神淡路大震災の際に、作者である滝氏がボアンティアとして現地に赴いたことだった。そのあたりの経緯も、童話の巻末にある「解説」に譲りたい。
「たかし」君に関する情報はヤマハミュージックメディアまで。
単行本、64ページ。定価1300円。