文春新書が『ネットの炎上力』の「読みどころ」を無料公開

   書籍の新しい販促方法として、内容をネットで無料公開する動きが注目されている。先に新書の「生命保険のカラクリ」を全文公開して売上げを伸ばした有力出版社の文藝春秋(東京・千代田区)は、第2弾として、書籍の読みどころをネットで公開、「合法的な立ち読み」で購入を判断してもらう実験を行う。

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第5章34頁分をPDFデータで


文春新書『ネットの炎上力』(蜷川真夫著)

   今回公開されるのは、10年2月に発行された新書『ネットの炎上力』(蜷川真夫著)の一部。J-CASTニュース発行人が著者であることから、同サイトの会社ウォッチ「新書ちょっとだけ」のコーナー(https://www.j-cast.com/kaisha/2010/03/15062195.html)から無料でダウンロードできるようにした。

   ネット書店での内容紹介は、前書きや導入部の一部がほとんどだが、今回は著作の中心部分である第5章「『炎上メディア』の汚名と名誉」の34ページと詳細目次の全文。文春新書の試みは、ネットでじっくり読んで判断してもらうことを狙っている。

   書籍内容をネットで無料公開する試みは、09年11月の『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』(NHK出版)が最初だ。「発売2週間前まで」「先着1万人」の制限付きで全文をダウンロードできるようにして、10万部を超えるヒットに結びつけた。

   文春新書『生命保険のカラクリ』(岩瀬大輔著)は09年10月の発売で売上げのカーブは落ちていたが、3月1日のネット公開直後には、書籍販売サイトの売上ランキング(年金・保険ジャンル)で第1位に返り咲いた。公開情報はツイッターにも広がり、ダウンロード数は4万2千件を超えた。

   文春新書の飯窪成幸編集長は、

「ネットで本を買う人は、タイトルや書評でしか内容をうかがい知ることしかできず、期待とずれる場合がある。合法的に多くの人たちが立ち読みできる方法はないものかと考えていた。現時点では、コンテンツの全文無料公開を積極的に進める予定はないが、デジタル技術を活用して、読者との接点を拡大していくことを模索したい。まずは、コンテンツに直接触れてもらう機会を増やす。今回の取り組みは、その第一歩だ」

と、そのねらいを明かす。「読みどころ」の選び方、権利関係の絡みもあり採用できるケースは限られるなど検討課題はあるが、これまで目次や序文程度しか立ち読みできなかったことから考えると、情報量は格段に上がることになる。<モノウォッチ

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