パリで好評開催 「禅 見本市」 来場者が期待したものは?

   今月の1日から5日間にわたり、パリ17区にある見本市会場で、「禅 見本市Salon Zen」が開催されたので、さっそく覗きに行くと、そこで展示・販売されていたのは、健康器具や癒しグッズの類。フランス人にとって「禅」とは一体、何なのか?

   パリ17区にある見本市施設、エスパス・シャンペレ。「禅 見本市Salon Zen」の会場内に並ぶブースで展示・販売されているのは、マッサージ機、快眠枕、磁気ネックレス、ハーブティ、自然派サプリメント、お香、ヒーリング音楽のCD、スピリチュアル系の本など。特設会議室では、ヨガやマッサージ、漢方薬を使ったストレス解消方法などのデモンストレーションや講演が行われていた。一体どこが「禅」なのだろう?

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禅ZEN=東洋的な癒し


癒しを求めて集まる人々


マッサージチェアは来場者に人気

   実はフランスでは、禅ZEN=東洋的な癒し、精神世界と大雑把なイメージでとらえられ、かれこれ10年ほど、ZENブームなるものが続いている。オリエンタルな家具を揃え、お香を焚き、寝る前にヨガのポーズをとることで「私は、ZEN的生活を送っている」と言う人もいれば、バカンスシーズンの高速道路で大渋滞に巻き込まれ、「いらいらせずに、ZENの気持ちを保つようにしている」なんて、TVニュースのインタビュアーに答える人もいたりで、禅という言葉が軽々しく使われている観がある。もちろん、中には座禅道場に通ったり、日本まで座禅を体験しに行く求道者もいる。実際、知人の医師は1か月のバカンスを取って、九州の禅寺で座禅修行をしたし。今回の見本市の講演プログラムにも『瞑想法』、『チベット仏教』など、本格的なテーマが見受けられたが、そこに『情熱が終わった後、真実の愛を見極めるには?』なんてものが混じっていたりするのは、何でも恋愛に絡めてしまうフランスらしい。

5日間で3万5千人が来場


ヒーリング音楽CD売場に仏像が・・・

   さて、今回で22回目の開催となるこの見本市、来場者数は5日間で3万5千人。97年までは1万人に満たなかったのが、04年には2万5千人、去年は3万1千人と、着実に増えている。また、バイヤーよりも一般消費者が多く、『見本市、特別価格』なんて張り紙もたくさん見かける。不況の影響で、社会不安が増大するフランスで、多くの人がZENの名前に導かれ、癒しや精神的救いを求めて集まって来るのかも。

   日本のメディアでも報道されたようだが、通信企業フランス・テレコムや自動車会社ルノーで、仕事のストレスが原因と見られる自殺が相次ぎ、テレコム社員の中には会社への抗議の意を示し、会議中に割腹自殺を図ったものまでいる。不況が長引けば、フランス人の間でも、ますますZENの需要は高まるに違いない。

江草由香

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