人気エコロジーバッグ「FEED」 デザイナーは前大統領の姪

   FEEDと大きくプリントされたシンプルなエコバッグに、グリーンマーケットで買った野菜やフランスパンをたくさん詰めた青年がバスに乗り込んできた。バッグの生地は、生なりのコットン、バッグの底は黄麻で、ファスナーがそのまわりにある。と、いうことは、コンパクトにたためるのか? そのバッグが、ちょっと、おしゃれにみえるのは、その男性のファッションのせい? 最近、少しずつ見かけるようになったこのバッグは、国連のワールド・フード・プログラムの名誉スポークスパーソンに選ばれたブッシュ大統領の姪で、アバクロンビー・フィッチやトミー・フィルフィガーなどのモデルをつとめたファッションモデルのローレン・ブッシュがデザインしたもの。フェアトレードのオーガニックコットンと、UNが食べ物を詰めて供給する麻袋の材料の黄麻を使用している。このバッグを購入すると100食分の給食が、アフリカの子供たち提供されるのだ。

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4億円寄付の「実績」も


100食の給食を提供するFEED100。折りたたむと10×20センチのポーチサイズに=ホールフーズでの独占販売

   世界では、5秒ごとに、餓えで子供たちが死んでいく。これをなくそうと、国連世界食糧計画(WFP)では、74ヶ国に栄養価に富んだ食事を子どもたちに供給するサービスを行っている。提供される学校給食が、満足に食べられる唯一の食事であったりする子供も多く、ローレン・ブッシュの提案で、06年に、この寄付金付きバッグの計画が始まった。

   07年4月に販売を開始したFEED1バッグは。人の生徒に1年間の給食を提供できる寄付が含まれ、08年のFEED2は、日本円で、およそ4億円を寄付した実績を持つ。リース・ウィザースプーン、トビー・マグワイヤ、マーシャ・クロス、テリー・ハッチャーなども賛同者だ。

   そして、09年に登場したのが、FEED2 KENYA BAG。NYの超高級デパートのバーグドーフ・グッドマンでの独占販売で、価格は$195.00!ここから、バッグの制作経費を除いた$100がWFPに寄付され、ケニアの子供2人に、1年間給食が提供されるのだ。今までのバッグと違い、ケニアの聴覚障害者や女性たちによって、ハンドクラフトされたビーズ刺繍、レザーのストラップなど、価格に見合った仕上げとなっている。このバッグ、150個入荷したものが、1週間で飛ぶように売れてしまったのだ。NYでも、ほとんど見かけることはないレアなアイテム。おまけに、手作りゆえ、生産が追いつかず、今では、長いウェイティングリストに名前を書き込んでひたすら待つのみなのだ。

「200ドル」ケニアバッグがあっという間に売り切れ

   エコロジーの精神にのっとったトートバッグが氾濫するNY。店のロゴ入り、イベント会場で配られたに違いない団体名の入ったものなど。バッグにプリントされた店名など、秘かなこだわりが見え、バッグから、その人の趣味や嗜好、行動範囲などが見て取れる気がする。なんといっても、最強のトートバッグは、ファッション業界の発表会などで、資料を入れて配られる部外者は手に入れられないバッグ。ファッションエディターのアシスタントなどが、誇らしげに持ち歩いている。$200ちかいケニアバッグが、あっという間に、売り切れてしまった事実を知ると、数年前のアニヤ・ハインドマーチの"I am not a plastic bag"が引き起こした大騒動を思い出してしまった。あの騒動の後では、誰も恥ずかしくて、あのエコバッグを持ち歩けなくなったのが事実なのだ。

                               

坂本真理

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