航空業界に衝撃運賃「9ドル」 「Allegiant Air」はユニクロか?
先日、LA Times紙で「赤字のデルタ航空が今年の7月1日から国際線も預け荷物2個目から料金をとる」という記事を読んだ。アメリカ国内線の預け荷物が有料化されると聞いたとき、「いずれ国際線も、となる可能性は否定できないな」と思ったものだが、その日が「とうとうきたか」という感じである。願わくは「他のエアラインは追随しないで!」。
年に1度、日本に里帰りしているが、少なくする努力はしていても、荷物はかなりの量に。預け荷物のうち1つが有料となると、親子3人の荷物であればいいお値段になる。それならばせめて運賃がもっと安くなればいいのに...。
ターゲットはレジャー客
LA Times紙ビジネス欄1面に取り上げられていました
アメリカの大手航空会社が苦戦している中、注目されているのがAllegiant Airだ。最近、ロサンゼルス国際空港(Los Angeles International Airport、通称LAX)からオレゴン州やコロラド州へ直行便を飛ばし始めた。なんと片道9ドルという運賃もだしてきた。まあそれはサービス開始プロモーション価格で、税金を含むと20ドルほどになるらしいのだが、それでも9ドルとは衝撃的な値段である。
90年代後半、日本からサンノゼに遊びに行った際に、アメリカ国内の移動にSouth West Airlinesをつかったことがあるが、搭乗手続きをすませると、座席番号のかかれたチケットではなく、1から3までに分類された搭乗順番ののったプラスチックのカードを渡された。何かと思ったら、1番のカードをもらった人から搭乗し、好きな座席が選べるという、英語でいうところの「first come first serve」、日本語の「早いもの順」なのだ。驚いた。
NYに飛ぶとき、初めて利用したJet Blueでは、座席番号が記載されたチケットは感熱紙のような薄い紙であったのにもびっくり。どちらも細かいところで努力することで、安い運賃をだし、他社とのサービスの違いを打ち出しているんだなと感心した。
ターゲットはレジャー客
さて前述のAllegiant Airが低価格を出せるのは次の理由によるらしい。
(1) 小さな地方都市に向けて飛ぶ
比較的寒い地域の小規模都市と南部のサンベルト地帯を結んで飛んでいる。既に飛んでいるのが134路線だが、うち6路線のみが大手航空会社と競合しており、他の路線は大手が飛ばさないような地方都市に向けてサービスを提供している。
(2)ターゲットはビジネス客ではなく、小都市からのレジャー客
ほとんどの航空会社はビジネス客を念頭においてビジネスを展開している。
(3)基本料金は運賃のみ(税金込み)
荷物を預けたり、機内での飲食注文をしたりする際には別料金が加算される。アメリカ国内線でもいまやアルコールなど一部の飲み物や、ブランケット使用時には別料金がかかるのが当たり前になっている。
(4)古い機材を使用
90年代に主流で、いまやあまり利用されていないMD-80型機を買ってリフォーム。同じサイズの新しいジェット機を買うより10分の1の費用ですむ。
(5)フルタイムで働く人は少ない
通常、大手航空会社では1機あたりのフルタイムワーカーは50~60人だそうだが、ここは35人。
片道の平均運賃は74ドル
もともと2000年に破産した後、新しいオーナーにかわり、ビジネス形態をかえて、ラスベガスに拠点を移した。飛行機以外にレンタカーやホテル宿泊のパックも取り扱っている。これが歳入の30%をしめるのだが、第一四半期の利益が200%上昇とは、赤字と苦戦続きの航空会社業界とは様相がかなり異なる。Allegiant Airの片道の平均運賃は74ドル。これは他のエアラインに比べて半額以下だ。こんなに安い料金設定だから客が飛びつき、利益増をもたらしているのだろうが、他にまだ何か特別な理由があるのではないか。どこか、日本の「ユニクロ」と似たものを感じてしまう。
5月25日はメモリアルデーの祝日、久しぶりの3連休である。不景気のため、近場でキャンプかビーチにてバーベキューですませようかとおもっていたが、Allegiant Airを利用して、子どもの頃に見たドラマのせいで、ずっと行ってみたいと思っているコロラドに飛んでみようかな、などと考えている。
(参考資料:Los Angeles Times 2009年5月13日版)
野村香奈