チョコレートパンもなし なぜ人気?「85℃ Bakery Cafe」 

   4月1日からカリフォルニアの消費税があがり、わがオレンジ・カウンティ(OC)は7.75%から8.75%に、隣のロサンゼルス・カウンティ(LA)は8.25%から9.25%となりました。いくら食料品には課税されないとはいえ、ためいきをつきたくなります。たまにはおいしいパンでも食べて気分転換。

   こちらでおいしいパン屋を探すのは大変。そのため8年ほど前にオレンジ・カウンティにおいしい日系のフレンチベーカリーができたときは大喜びでした。やはりおいしいものを食べたいという欲求に国境はないようで、今では日本人よりも他の国から来た人たちの姿をより多く見かけます。難点は我が家からフリーウェイで20分かかること。友人たちも「もっと近くにあればいいのに…」。

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今回がアメリカ初出店


ある週末の夜の店。外まで行列が

   そういうわけで最近では隣のアーバイン市にオープンした85℃ Bakery Cafeにいく回数が増えました。2004年、台湾に開店したカフェ。本国台湾ではすでに156もの店舗展開をしており、アメリカ出店は今回が初。店の名前の85℃はコーヒーをいれるのにちょうど適している温度に由来しているそう。

   昨年秋にオープンして以来、大人気のこのアーバイン支店。たえず行列ができていて、時間帯によっては外まで続いていることも。中では店員たちが陳列棚のパンが品薄にならないようにこまめにチェックしている姿が見受けられます。

   店はガラス張りでお洒落。パン以外にはケーキ、コーヒーなどの飲み物が販売されており、店内で食べることも可能です。

   客層はアジア系が中心です。アジア系が多く住むアーバイン市にあるせいでしょう。日本人のお客さんも見かけます。店のそばにビジネスエリアがあるため、日中はビジネスマンらしき人の姿もあります。

セルフサービス方式なのも人気の理由


これが人気のブリオッシュ

ケーキの箱もシャレてます

   パンは甘すぎないのがうれしい。メイプル・トースト、Red Bean Breadこと、あんパン、コーヒー入りのパン、そしてチーズ味のタルトなどが数多く売られているものの、日本のパン屋さんでは当たり前のように置いてある、デニッシュやパイ、バゲットといった類のパンは見かけません。また子供が好きなチョコレートパンもなし。

   レジにいた日本語を話せる韓国人の男性店員によると、人気のパンの一つがジャパニーズ・スタイルと紹介されているブリオッシュ(1.8ドル)。トレイに数個のせてレジでならんでいる人も結構います。

   ケーキも種類が豊富で、日系のベーカリーに比べてお値段も安めなのですが、当たりはずれがある。ムース系はけっこういけるものの、チョコ系は「うーん」でした。

   お店の名前の由来ともなっているコーヒー。かなりこだわりがあるようで注文してから出てくるのに時間がかかります。85℃ coffeeはすでにミルクと砂糖がはいっていて、「ブラックがいい」というとAmericanoがでてきます。濃いコーヒー好きの私にとってはちょっと薄めですが、酸味と苦みのバランスはよく、とても飲みやすいです。

   店そのものは、日本であればどこにでもありそうな小洒落たおいしいベーカリー。そういうお店に見慣れている日本人にとっては、スタバが日本に初上陸したときのようなインパクトも新鮮さもない。友人たちと話していても、「すごくおいしいわけでないよね」「ケーキはあの値段でそのおいしさならお得だよね」。

   でもよくよく考えてみると人気の理由はいろいろある。例えば、

1)おいしさ: OCでベストベーカリーに選ばれた前述の日系ベーカリーに比べたら味はおちるが、OCのベーカリーの中ではここの味のレベルは高い。アメリカ系ベーカリーはベーグルやマフィンには強くてもそれ以外のパンはうーん…。 2)気軽さ:こちらのベーカリーはショーケースの中の商品を知らせて買う対面販売が圧倒的。でもこのカフェは自分でとってトレイにのせるセルフサービス方式。 3)便利さ:アジア系住民が多く住むアーバイン市内にあるため、利便性がある。

   85℃ Bakery Cafeがあるモールは去年できたばかりの韓国系モール。H-Mart(韓国系スーパー)や韓国系の銀行以外に、入っているお店はアジア系中心。85℃ Bakery Cafe同様、大人気のレストランもあります。

   例えばボバ・ティーなどが飲めるGuppy Tea House Cafe、お洒落でおいしいTokyo TableAjisenラーメンなどは週末ともなると大混雑。すでにビバリー・ヒルズに出店していたTokyo Tableは友人いわく。「アーバインの店のほうが混んでいた」。

   Tokyo TableとAjisenラーメンはともに日本発のレストラン。日本人以外のお客でにぎわっているのをみると、「がんばれがんばれ」と応援したくなるのでした。

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