ホテルマンか漁師か 夏の「お仕事体験」いかが?
東京・豊洲の職業体験施設「キッザニア東京」が人気を集めているが、この夏休み、子どもの職業体験をテーマとした活動が全国各地で展開されている。そんな「職業体験イベント」の情報を集めたページが、地域情報ポータルサイト「チキタビ」にオープンした。さまざまな仕事の「現場」でその道のプロから仕事を教えてもらうことには、どんな魅力が隠されているのだろうか。
子どものための「ホテルマン」体験プログラム
でき上がった料理は両親に食べてもらう
東京・早稲田のリーガロイヤルホテル東京では2008年7月~8月の夏休み期間中、ホテルの仕事を体験できる「キッズホテリア」を開催している。
3才から小学生までの子どもが対象で、客室係・ドアマン・フロントマン・フロアサービス・シェフという5つの仕事を体験できるプログラムだ。参加者にはベルボーイ(ガール)やシェフのユニフォームが用意され、体験後には図書カードと年間アイスクリーム無料券という「お給料」も支払われる。
「もともと、今回のプログラムはキッザニアの人気を受け、子どもも一緒にホテルを楽しめるサービスはないかと思案した末に考え出された企画でした。去年1回目を実施してみたところ大好評で、さらに内容を充実させる形で今年も行うことになりました」
キッズホテリア担当者の伊東菜緒子さんは、企画の背景をこう話す。
プログラムはを体験できるのは、ホテル宿泊している家族の子ども。1家族につき2人まで参加できる。
「『職業体験』と銘打ってますので、お子様はご両親と離れてこのプログラムに参加していただきます。ただ、フロントマンのチェックイン作業やシェフ体験で作った料理など、伝授されたサービスはご両親にも確かめていただくことになっており、お子さんの仕事ぶりを体感していただけるかと思います」
参加者から特に好評なのは、シェフの指導でオムレツやチャーハンの調理にチャレンジする「ちびっこシェフの奮闘記」。プログラムの順番としては最後にあたる。最初の頃に比べ緊張がほぐれているうえに、作った料理を自分で食べられるということで、子ども自身がもっとも楽しみながら参加できるプログラムのようだ。
現役漁師が教える「漁業体験」
漁で釣った魚は持ち帰りが可能
職業体験プログラムは地方でも展開されている。ユニークなのは、三重県熊野市で行われている漁業体験プログラム「ケンケン漁体験」と「タコかご漁体験」だ。地元の現役漁師が指導する。
キッズホテリアは純粋な子ども向け企画だったが、こちらは大人も参加ができる。逆に中学生未満の子どもは大人の同伴が必要となる。ケンケン漁とは、船を走らせルアーをひっぱり、カツオやサバ、ハマチなどを釣り上げる漁法。一方、タコかご漁とは前日に海底に仕掛けた特殊なカゴを引き上げてタコを採る漁法のことだ。
「漁体験プログラムは2005年7月、地域活性の一環として熊野市から要請を受け、スタートしました。ほとんど宣伝もしていなかったのですが、現在は愛知・奈良・大阪など、近郊県から参加される方も増えてきています。一度漁業を体験してみたかったという方がほとんどですが、気に入るとリピーターになる方もいらっしゃいますね」
プログラムに携わる「遊木 海と自然のクラブ」の濱中朋美さんは、このように話す。大人から子どもまで幅広い年齢の人が利用しているが、特に30代、40代が多いという。子どもと一緒に家族で参加するだけでなく、大人同士で楽しむケースも目立つそうだ。
プログラムは夏明けから9月下旬まで。多いときは1日20人ほどの参加者があり、07年は期間中約350人が参加した。この漁体験は、漁師の後継者不足対策という意味合いもあり、中には漁師志望の若者もちらほら見られるのだとか。
仕事の「地域色」にも注目!
チキタビの「おしごと体験特集」ページには様々な職業体験プログラムが掲載されている
このほかにも、「チキタビ」の「おしごと体験特集」ページには、消防官や電車運転手、ドルフィントレーナー、たこ焼き屋など、20近くの職業体験案内が掲載されている。
チキタビはもともと普通に旅行するだけではなかなか体得できない「地域体験」を紹介し、旅行の意義を深めてもらうことを狙いとしたサイト。おしごと体験特集でも、「ケンケン漁体験」のようにその地域だからこそ体験できる仕事が紹介されている。
場所も全国各地からまんべんなくピックアップされているので、自宅から近いところを調べてみたり、興味のある仕事があれば旅行のつもりでその土地に足を運んでみるのもいいかもしれない。