食べれば食べるほどハマる ベトナミーズ・サンドウィッチ

   フリーウェイにてスピード違反で捕まりました。65マイル(約104.6km)制限のところを80マイル(約128.7km)で走行したのです。

「後ろからプレッシャーをかけてくる車がいるなー」「車間あけなさいよー」

と思っていたら、いつの間にかその車はおらず、サイレンを鳴らしたパトカーがバックミラーにうつっていました。

「やられた!」

   そのときのショックといったら!

   すぐに頭に浮かんだのは違反料金のことではなく、経験者の誰もが「苦痛この上ない」という8時間拘束の英語によるトラフィック・スクールの受講のことでした。

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「ベトナムの味」はロスの日本人にも大人気


ニンジンと大根、パクチーが挟まれているベトナミーズ・サンドウィッチ

   捕まった場所はあと10分も走れば我が家という距離のところで、ベトナムからの難民や移民たちが多く住んでいる町、ウェストミンスター市(Westminster)でした。

   街のいたるところにベトナム文化が溢れているのですが、中でもリトルサイゴンと呼ばれる一角は「ここはアメリカ?」と思わずにはいられないほどです。

   この町のあちこちに店を構えるのは、日本人のファンも多いベトナム食文化を代表するフォー(pho)やブン(bun)などのレストランですが、そのなかでもベトナミーズ・サンドウィッチは手軽さもあって特にファンが多いようです。

   ベトナミーズ・サンドウィッチを作っているのは、大手チェーンでカリフォルニアを中心に全米へと店舗展開し続けているLee's Sandwichから家族経営のような小さなお店までいろいろあります。

   店の規模にかかわらず、人気の理由はなんといっても味とお値段。サンドウィッチの種類はいろいろあり、お店によって入っている具の味つけや種類も微妙に違うのですが、バンズがバゲットやクロワッサンなのはどこも同じ。

やわらかくて、おいしくて、そのうえ安い!


甘くてミルクたっぷりのベトナミーズ・コーヒー

   たとえば、私の好物であり友達にもファンの多いGrilled Pork(グリルド・ポーク)は、バゲットに甘めに味付けられた豚肉(味は違いますがイメージはチャーシューと同じ)と酢づけされた千切り人参や大根がはさまっているというもの。

   「ニンジンや大根がアクセントになっていておいしい」と懐かしげに話すのは昨年末に日本へ帰国した夫婦で、ベトナミーズ・サンドウィッチファンの友人です。

   このニンジンや大根の上に、人によって好き嫌いが分かれるパクチー(コリアンダー)がのっているのですが、同じくすでに日本へ帰国してしまった友人の一人は「はじめは"何これ?"なんだけど、なぜかハマる。日本では買えない品」と言います。

   サンドイッチのおいしさの立役者でもあるバゲットはたいていどこも、ほぼ常に焼きたてのため、やわらかくておいしいのはいうまでもなく、そのうえ安いのです。以前は1本1ドル以下のところも多かったのですが、今は1ドル代が平均のお値段。そうはいっても"Buy one get one free"(1本買えば1本タダ)で売っているところもまだまだあります。

   このサンドウィッチに合わせる飲み物は同じくベトナムオリジナル、甘くてミルクたっぷりのベトナミーズ・コーヒーしかないでしょう。暑いこの時期はやはりアイスを選ぶのが賢いのです。

   ベトナムは元フランス領ですが、その食文化において、日本人がはまるフレンチのおいしい部分がしっかりと根付いているようです。

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