「白い恋人」だけじゃない!脚光浴びる「さっぽろスイーツ」

   北の都・札幌にはおいしい食べ物がたくさんある。ラーメン、トウキビ、ジンギスカン・・・いろんな名物があるが、最近新たに「スイーツ」が加わった。「札幌をスイーツで盛り上げて、観光客を呼び込もう」。そんな街ぐるみの動きが広がっている。

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2008年のグランプリは「サミットさっぽろプリンパイ」


「さっぽろスイーツ2008」のグランプリに選ばれた「サミットさっぽろプリンパイ」

   「さっぽろスイーツ」というキーワードを提案しているのは、札幌洋菓子協会や札幌市で作る「さっぽろスイーツ王国推進協議会」。2005年11月に設立されてから毎年、札幌を代表するスイーツを選ぶコンテストを実施している。

   2008年のグランプリは、市内のケーキ店「パティスリー アンシャルロット」のオーナーパティシエ吉本晋治さんが提案した「サミットさっぽろプリンパイ」に決まった。チーズの製造過程で生まれるが、大半は廃棄されてしまうホエー(乳清)を素材として活用したユニークなプリンパイだ。

   面白いのは、コンテスト後の取り組みだ。同協議会では、このプリンパイのレシピを会員のパティシエたちに公開。札幌近郊の洋菓子店がそれぞれの「サミットさっぽろプリンパイ」を作って、販売できるようにしているのだ。レシピの共通基準は「ホエーを使う」「パイ生地を使用する」など緩やかなので、各店の個性を生かしたオリジナルプリンパイで競い合うことになる。

「今回は29社59店舗が販売協力店として参加しています。5月20日からは、これらの店をめぐるスタンプラリーも始めました。札幌を訪れた観光客に『小さな洋菓子店をめぐる』という新しい観光のスタイルを提案していきたい」

と同協議会の吉田聡子事務局長は語る。

北海道のお菓子は「白い恋人」だけじゃない!


2007年の「さっぽろスイーツ」グランプリは「白いティラミス」だった

   吉田事務局長によると、札幌はもともと「洋菓子店のレベルが高かった」という。その理由として、素材の良さと人材育成の土壌をあげる。

   洋菓子に使う小麦や牛乳、フルーツなどの素材が、北海道にはふんだんにある。パティシエの中には「素材の良さにひかれて札幌に移住した」という人も多いそうだ。「さっぽろスイーツ2008」でグランプリを受賞した吉本さんもその一人。芦屋の有名店やフランスで修行した後、札幌に自らの店を構えた。

   人材育成の面でも、札幌は恵まれているという。

「パティシエの専門学校が増えていますし、洋菓子協会のコンテストなどで評価されて、成長できるようになっています」(吉田事務局長)

   こんな背景をもつ札幌の"おいしい洋菓子屋さん"を一つのブランドにして、対外的にアピールしていこう。それが「さっぽろスイーツ」というわけだ。

「北海道のお菓子というと『白い恋人』などお土産ばかりが注目されてきましたが、これからは『札幌に直接スイーツを食べにきてください』とアピールしていきたい。スイーツを、観光客を呼び込むコンテンツに育てていきたいですね」

旅行会社や航空会社も「さっぽろスイーツ」に注目


JALツアーズのパンフレットでは札幌や小樽の「スイーツ特集」を掲載した

   このような動きには、旅行会社や航空会社も注目している。国内旅行をてがけるJALツアーズは、北海道観光のツアー企画「JALパワーアップ北海道」のパンフレットに、「札幌・小樽・千歳の人気スイーツ」の特集を掲載。札幌や小樽の洋菓子店をツアーのクーポンメニューに組み込んで、ツアー客がクーポンで利用できるようにした。

「いろんなところでご当地スイーツがにぎわっていますが、札幌でもスイーツが熱いということで、クーポンメニューの目玉として取り上げてみました。スイーツ好きな女性をターゲットにしています」(JALツアーズ企画担当者)

   航空会社各社も「さっぽろスイーツ」コンテストのスポンサーになるなど、「スイーツの観光コンテンツ化」の動きをバックアップしている。また、札幌市交通局も「サミットさっぽろプリンパイ」をデザインしたプリペイドカードを08年6月2日に発売した。

「さっぽろスイーツは、札幌市全体として売り出そうという試み。市内の洋菓子店を地下鉄やバス、市電で巡るのに、このカードを使ってもらえれば……」

という期待が込められている。

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