YouTubeより断然キレイ! 次世代型動画サイト「zoome」
動画投稿サイトといえばYouTubeとニコニコ動画。2強が圧倒的な人気を誇っているが、第3勢力の中にも面白いサイトがある。たとえば高画質が売りの「zoome(ズーミー)」だ。
「動画サイトの画質は良くない」というイメージを変えたい
zoomeに投稿され、絶賛された自主制作アニメ「さかなのうた」
zoomeは、インターネット回線事業のアッカ・ネットワークスが運営する動画投稿サイト。ニコニコ動画(β版)とほぼ同じ2007年1月にスタートしたが、知名度には大きな差があった。
注目されるようになったのは07年12月。人気沸騰の音声合成ソフト「初音ミク」を使った動画作品を募集し、担当声優がコメントする企画を発表してからだ。ちょうど同じころ、ニコニコ動画の経営にかかわるドワンゴで「初音ミク」の権利関係をめぐる騒動が発生。初音ミク作品が、ニコニコ動画からzoomeへ流れ込む現象が起きたのだ。
「zoome全体のアクセスも増えましたし、会員数も一気に拡大しました。ユーザーからは次々といろんな要望が来て、それに一つ一つ対応していく毎日でした」
とアッカ・ネットワークスの映像コミュニケーション事業部の阿部聡也さんは振り返る。
知名度が上がったおかげで、zoomeの良さを多くの人に知ってもらえるようになった。最大のセールスポイントは「高画質」だ。「H.264」という新しい動画圧縮技術を使っているため、YouTubeなど他の動画サイトよりも綺麗な動画を見せることができるのだ。
ユーザーが投稿した動画は、zoomeのサーバ上ですべてH.264形式に変換される。変換に時間がかかるなどサーバの負担が大きいこともあって、ほかの動画投稿サイトでH.264を採用しているところはほとんどない。
ニコニコ動画もH.264に対応しているが、投稿できるのは有料会員のみだ。その点、zoomeはすべてのユーザーが無料でH.264を使えるというメリットがある。
「YouTubeを見て『動画サイトの画質は良くない』と思い込んでいる人が多いですが、そういうイメージを変えていきたいですね」
ハイレベルなクリエイター作品が集まってきた
「新しい企画をどんどん打ち出していきたい」というアッカの阿部聡也さん
高画質の動画を投稿したいならzoome――。そんなイメージが広まるにつれて、zoomeには質の高いクリエイターの作品が集まるようになった。
たとえば、NHKでも紹介された「さかなのうた」。東京工芸大学の女子学生が卒業制作で創った音楽アニメーションで、その完成度の高いアニメと美しい音楽が大きな評判を呼んだ。もともとはニコニコ動画にもアップされていたが、いまはzoomeでのみ本家版を見ることができる。
zoomeの注目度を高めた「初音ミク作品」もクオリティの高い作品が多い。初音ミクの音楽やイラストを投稿する公式サイト「ピアプロ」と連動するかたちで、優れた動画がzoomeに集まっている。
「こんなにレベルの高いクリエイターの人たちが投稿してくれるとは予想外。世の中が気付いていない才能がたくさんあるんだと実感しました。そんなクリエイターの人たちをzoomeで支援していければ……」
と阿部さんは抱負を語る。将来的にはzoome発コンテンツの商品化も検討している。
ケータイからも簡単に「動画投稿」
だからといって、クリエイター層ばかりを意識しているわけではない。「誰でも気軽に利用できる公園のような空間」というのが、zoomeの目指すところだ。そのため、動画サイトとしては珍しいSNS機能を充実させたり、動画に吹き出しのコメントを付けたりできるようにして、コミュニケーションが広がるような工夫をしている。
ケータイから簡単に投稿できるのも、そんな工夫の一つ。zoomeでは、ケータイで撮影した動画を指定のアドレスにメールするだけで、簡単にアップできるのだ。
「動画の投稿って、やってみるとすごく楽しい。ケータイで好きなときに撮ってメールで送るだけですから、実はブログで文章を書くよりもずっと簡単なんです。まずは気軽に登録して『zoome体験』をしてみてほしいですね」