ホンダ(本社・東京都港区)の企業ブランド「Honda Power Products」は、東京モード学園(東京都新宿区)との共創でオリジナルゲーム「Tiny Hero」を制作。2024年3月25日、メタバースプラットフォーム「Roblox」内で公開した。
「ゲームの世界から、とある家の中に迷い込んだ小さなヒーロー。意外なモノを次々と動かして、ひそかに住人たちを救う物語です」と説明されている。詳しい話を、ホンダに取材した。
東京モード学園との共創で生まれた「オリジナルコスチューム」
「Tiny Hero」は、ごく普通の家に住む3人家族のストーリーだ。主人公(プレーヤーになる人)は、小さなアバターとしてその家に迷い込み、家族の困りごとを解決する役割を担う。そのためには、家の中に点在する「モビリティパワー」を集めなければならない。その数に応じて、さまざまな物を動かすことができ、行動できる範囲が広がる。
3部屋にそれぞれお父さん、お母さん、子どもが住んでいる。一部屋につき各キャラクターのメインストーリーがある。3つすべてクリアすると「ファイナルミッション」が与えられ、それもクリアできれば「オリジナルコスチューム」が手に入る。これは、ホンダと東京モード学園との共創で生まれた。
モビリティパワーは、家の中の100か所にある。ファイナルミッションを終えた後も、すべて集めるまでやってみるのも楽しい。
事業の第3の柱「Power Products」
「Tiny Hero」公開にあたり、「誰かのために動かしたいもの」という名目で、Tiny Heroで使用するアイデアが描かれた「ラクガキ」を一般から募集した。そこから選出した4作品を、実際にゲーム内に登場させる形で具現化したという。選出作は、以下の通り。
自ら歩いてきてくれるスマホ「歩くスマホ」
そばに来て音楽を奏でる「感じるピアノ」
ゴミを拾い上げ回収する「ゴミを拾うゴミ箱」
災害などが起こった際に家ごと移動「空飛ぶ家」
ホンダからはクルマやバイクといったものが想起されるが、事業の第3の柱であるのが「Power Products」とのこと。
同社パワープロダクツ事業統括部の金塚征志さんによると、例えばロボット草刈機、発電機、電動パワーユニットなどだという。
この「Power Products」を、「誰かの力になろうとする人、そしてそのために何かを創(つく)り出す」という思いと、人々との共創に臨む姿勢をより多くの人に体感してもらうため、生まれた。
「Tiny Hero」制作にあたって出されたアイデアは、スマホやゴミ箱といった身近にあるものが多い。
こうしたアイテムは家の中にあるため、家を舞台にしたゲームにしたいと思ったと金塚さん。こうしたアイデアは全て、「誰かのために、ありえないものを動かす。または動かしたいもの」をテーマに、消費者自らが発案した。
「ありえないもの、本来動かないものを動かす」という発想を大切に選定したので、ホンダの事業とは直接関係がないものでも、「モビリティ」という共通した概念のもとに生まれたアイデアを大切にしようと採用したと、金塚さんは話した。