シュルレアリスムの先駆者
現実をデフォルメし、非日常の世界を描いた画家は少なくない。サルバドール・ダリ(1904~1989)やルネ・マグリット(1898~1967)などなど。のちにデ・キリコも参加したシュルレアリスムの画家たちの多くは、そうした設定を好んだ。
デ・キリコが「形而上絵画」を描き始めたのは1910年ごろから。シュルレアリスムが盛んになるのは1920年代なので、デ・キリコの先見性がわかる。年齢的にも、ダリやマグリットよりも少し年長だ。第一次世界大戦をはさんで、キュビスム、ダダイスム、シュルレアリスムなど新たな芸術運動が沸き起こった20世紀前半。デ・キリコはそこで大きな役割を果たした。
見る者の想像力に働きかける不思議な作品群は、日本の著名な画家たちにも影響を与えたことが知られている。