オリーブオイル、5月に大幅値上げ 地球温暖化や南北問題も影響

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やがて「超高級品」に?

   オリーブオイルの値上げには、いくつもの理由があるという。国際政治学者の六辻彰二さんは2023年12月16日、「Yahoo!―個人」で、「オリーブオイルが超高級品になる日――価格高騰が長期化しかねない4つの理由」と題して詳しく解説している。

   一つは天候不順。産地の地中海沿岸は、地球温暖化の影響をもろに受け、毎年のように熱波となっている。オリーブの不作が続き、最大の産地スペインは生産量がほぼ半減している。当然ながら、自国でも価格が高騰している。

   一方で、健康志向も相まって、消費は世界的に拡大している。生産・供給と消費のアンバランスがひどくなっている。しかも、トルコ(世界第二位の生産国)のように、輸出を制限する国も出ている。シリアやモロッコも輸出制限に踏み切っている。新興国・途上国の動向が、先進国を揺るがす構図となっている。

   さらに大きな問題は、生産量を簡単に増やせないこと。オリーブ栽培は地中海性気候の土地でなければ難しい。実際、生産量上位10か国は地中海沿岸国が占め、その生産量の合計は世界全体の9割以上を占めている。生産を無制限に増やせば、生産地の自然環境や労働環境にも大きな影響を及ぼす。

   六辻さんは、「価格高騰の長期化が避けられないなら、むやみに増産による価格下落を求めるよりむしろ『そこそこ手頃な価格で手に入って当たり前』という思い込みを捨て、使用量を調整したり、代替品も検討したりといった対策をとる方が、財布だけでなく地球にも優しいだろう」と書いている。

   地球温暖化や、先進国と途上国の対立もはらむオリーブオイル問題――「大袈裟にいうなら、オリーブオイル高騰は変貌する世界の一つの象徴といえる」と、六辻さんは強調している。

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