「WEBTOONの個人制作」可能性を徹底追求
続いて「WEBTOON HOTPIC」。今回取り上げたのは下記の2トピックだ。
1.アニメ「俺だけレベルアップな件」ぶっちゃけ面白い? 反響は?
2. 「Amazon Fliptoon」
1は、24年1月に放映開始した「俺だけレベルアップな件」のテレビアニメについて。18年に連載スタートした韓国発の作品で、WEBTOON初のアニメ化を果たした。まいきーさんも遠藤さんも、「5年以上前に始まったWEBTOONなので、昨今とは作りが違う」としながらも、「クオリティが高く、面白い」という感想で一致。特に遠藤さんは、原作が完結しているからこそできるアニメ設計だと指摘している。いったいどういう意味なのか(33:04~)。
2は、フルカラーの縦読みマンガに特化したサービス「Amazon Fliptoon」が、1月24日から「縦読みマンガ大賞」を開催している、という話題。賞金総額1億円で、プロ・アマを問わない。個人でも応募できる。遠藤さんはすばらトゥーン第二回で、個人作家が制作したWEBTOONにも優れたヒット作品があるとし、「個人とスタジオとでは、作り方も強みの生かし方も違う。個人だと新しいアイデアや手法をスピーディーに試せる」と期待をにじませていた。
とはいえ、まいきーさんは「WEBTOONはチーム制でやるのが、一応のスタンダード」と話す。漫画は続くものであり、定期的なペースで手掛けるのは大変。「一人で作るのは可能だが、まあまあハードルはある」からだ。ましてWEBTOONは「フルカラー」が珍しくなく、原作、作画、着色といった各工程を単独で担い、ハイクオリティな作品を連載し続けるのには限界がある。
つまり、個人でやっていくのであれば戦略が不可欠。例えば、世界的人気作「俺だけレベルアップな件」は、鮮やかなカラー(塗り)が作品の魅力の一つ。同作レベルの着色をしていないことが「マイナスにならないような作品づくり」をする必要があるだろう、とまいきーさんは考える。
そのうえで、まいきーさんはクリエイターにWEBTOONの話をする時、「仕事の仕方としての選択肢があるよ」と声をかけるという。漫画は「原作」と「作画」で担当が二つに分かれることは珍しくない。シナリオとネームのどちらかが負担になりすぎて、制作が遅くなるのであれば、WEBTOONを分業で手掛ける道がある、と提案する。苦手な工程は誰かに委ね、得意分野で自分の強みを生かす戦い方もある、と伝えるのだ。
ただ、漫画のカラー担当者はまだそこまで数が多くないため、アニメやゲームのような「演出的なカラー」を塗った経験がない作り手がほとんど。分業制では、自らの担当箇所が終われば次へバトンをパスしていくので、些細な認識違いによって全体進行に遅れが出るケースもある。「自分だけがわかっていればよい」わけではない。
そうした苦労とやりがいのある現場で、まいきーさんは「ネーム担当」としてどのような点に注意し、説明を工夫しているのか。実践的なアドバイスはスペースにて(57:55~)。