WEBTOONは本当に個人で作れる? 現役ネーム担当が感じる「限界」と「可能性」

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【すばらトゥーン】
スマートフォンで読むのに最適化されたフルカラーの縦読み漫画、「WEBTOON」。韓国発のコンテンツだが、昨今は国産作品の台頭もめざましい。
ナンバーナインが運営するWEBTOON制作スタジオ「Studio No.9」の漫画編集者・遠藤さんをメインパーソナリティに迎え、ツイッター(現、X)のスペースで「国産のすばらしいWEBTOON作品とホットトピックを紹介する番組」を実施。記事では模様をダイジェストでお届けする。

   第八回のゲストは、WEBTOONネーム担当や漫画の現場メンターとして活躍中の、まいきーさん。誰もが知る、いくつもの有名な漫画作品の制作現場にアシスタントとして携わり、専門学校での講師経験もある人物だ。横開き漫画とWEBTOON、双方に精通している立場で数々の見解を説いてくれた。

  • (左から)まいきーさん、「Studio No.9」の漫画編集者・遠藤さん
    (左から)まいきーさん、「Studio No.9」の漫画編集者・遠藤さん
  • (左から)まいきーさん、「Studio No.9」の漫画編集者・遠藤さん

主人公なのに序盤はほぼ動きナシ!?

   まずは、まいきーさんがおすすめする国産WEBTOON作品の紹介から。

最強暗殺者、クラス転移で異世界へ (7:15~)

あらすじ: 主人公・新城戒は、昼は普通の高校生、夜は裏社会に生きる暗殺者という、2つの顔を持つ少年。ある日、新城は「クラスごと」まとめて異世界に転移してしまう。しかも、魔王を倒すために召喚された「勇者候補」だと告げられて......

   主人公が突如「異世界へ転生」するのは、WEBTOONではよく見られる展開。ただ、同作は「クラス単位」で転生しており、まいきーさんは「勇気が要る、チャレンジングな試み」と指摘する。それはなぜか。

まいきーさん「WEBTOONでは『読みやすさ』が重視されます。序盤から、いきなり大人数を出すのって難しいんですよね」
遠藤さん「主人公の活躍に終始して、仲間がいないケースが少なくないですからね」

   WEBTOONは一気読みより、「毎日1話ずつ」タイプの人が多いため、複数キャラのストーリーが同時並行すると、読み手の混乱を招きやすい。つまり、序盤は主人公(およびその周囲)にスポットを当てるのが定石なのだ。

   ただ同作は、初めからまとまった人数が出てきても「わかりやすいキャラクター配置になっている」と遠藤さん。登場するクラスメイトたちは「委員長」や「優等生」、「不良」に「ギャル」といった、イメージしやすいタイプ・性格付けがなされているので、異世界で各々が「こっちで暴れたい」「帰りたい」と自由に動いても、物語についていきやすい。

   主人公も「現実世界において暗殺者」という強い個性を持つので埋もれない......と思いきや、七話くらいまで流れに身を任せ、地味な行動ばかり取るという。WEBTOONの王道とされる流れに対し、逆張り的な挑戦をいくつも取り入れている作品だ。

   続いて、遠藤さんのおすすめは下記の通り。

ロケ弁の女王 (18:50~)

あらすじ:ドラマ撮影の制作部にて、制作進行として働く主人公・俵米子は、おっちょこちょいな性格だが、ロケ弁への愛は誰にも負けないほど。ロケ弁を通じ、現場の士気を高めるために奮闘する。

   単なるグルメ漫画ではなく、「お仕事モノ」要素やヒューマンドラマも楽しめる作品だという。LINEマンガの作品ページには「史上初のロケ弁マンガ」と説明がある通り、これまでにない着眼点であるようだ。まいきーさんは、人が興味を持ちやすい「食」ジャンルを扱っていてストレスフリーに読めるとし、そのうえで「ネタにしても絵柄にしても、WEBTOONにおもねっていない」と話した。

   さらに、作中に登場するのが「実在するロケ弁」である点も魅力。話繋ぎにあたる、いわゆる「おまけ漫画」のようなページにも「実在のロケ弁写真」が出てきて、楽しませてくれるそう。ただ、遠藤さん曰く「ロケ弁を注文する時には注意が必要」。詳細はスペースにて(28:17~)。

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