「ウマいけどリスキー」だった発酵食品 石川県の禁じられた珍味、フグの...

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おいしいものは死の危険すら乗り越える

   石川県の中でも限られた地域でしか製造が許されていない「フグの卵巣ぬか漬け」。県民のみなさんは、昔から珍味として召し上がってきたそうです。猛毒を持つフグの卵巣をぬか漬けにして食べるなんて、最初に思いついた人はどんな思考回路をしていたのか。

   みなさんもご存知の通り、フグにはテトロドトキシンという毒があり、専門の調理師免許を持った人しか調理することができません。その毒性は青酸カリの1000倍以上と言われ、1匹のフグで30人を殺せるレベル......。厚生労働省の調べによると、今でも年間で約30件ほどのフグ毒中毒が発生し、そのうちの数名がなくなるのだそうです。しかも、卵巣などの内臓には高濃度の毒素が蓄積されているというのだから、あえてそこを食べるなんて思いついた人の無鉄砲さはほぼ確定です。

   しかもフグは、あらゆる発酵や微生物の研究者が長年研究対象としてきたにもかかわらず、いまだに「毒がなくなる科学的な理由は明らかになっていない」のだとか。長らく石川県では「フグの卵巣ぬか漬け」によるフグ毒ロシアンルーレットが行われていたということかもしれません。

   昔からフグ毒については認知されていたようですが、なぜか石川県の人たちはそれを乗り越えてフグの卵巣を食べ続けてきたのです。「おいしいものを食べたい!」というのは古くからの変わらない人間の欲求であり、時に猛毒や死の危険さえも乗り越えさせるのかも......。

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