【連載】お腹トラブル天国と地獄 番外編:スーパーアグレッシブ発酵食品図鑑
日本人の食生活の中で欠かすことができない「発酵食品」。醤油、味噌、酢、酒、納豆、つけものなど、日々何かしらを口にしていますよね。もともと保存技術としての側面があった発酵食品は、地域の文化や歴史を知るためにも重要な資料。ですが、なかには現代の私たちの理解を越えた、ちょっと不思議な発酵食品も数多く存在します。
今回は、いつもの「お腹トラブル」連載から少し飛び出して、スーパーアグレッシブで魅力的な発酵食品をご紹介します! 取り上げるのは、「フグの卵巣ぬか漬け」。石川県でしか製造が許されていない、禁じられた珍味です。
記憶がないうちに、茶碗が空に
「フグの卵巣ぬか漬け」は、その名の通り、フグの卵巣をぬか漬けにしたもの。石川県内では珍味としてお酒のお供に楽しまれています。魚卵なので、見た目はほぼタラコ。ただ、タラコより楕円形に近くて茶色いです。包丁を入れると、オレンジがかった魚卵たちがぎっしり。
薄切りにしてそのまま食べると、塩分強めでお酒がどんどん進みます。ぬか漬けというより、チーズに近い香りがするのが不思議。日本酒はもちろん、酸味の効いた白ワインでグイッと流し込むのも最高です!魚卵のプチプチ食感もたまらない......。ひと口入れただけで、うまみ、塩味、甘み、酸味といった複雑な味わいが弾けていきます。
ほぐしてパスタやおにぎりの具材にしたり、クリームチーズと混ぜてお酒の肴にしたりと、意外とアレンジもしやすいのが嬉しい逸品。お茶漬けにすると、記憶がないうちにお茶碗が空になります。ぜひお試しあれ。