早めにサイトでチェックを
日本では、大学で学ぶのにカネがかかる。『奨学金が日本を滅ぼす』(大内裕和・中京大教授著、朝日新聞出版、2017年2月刊)によると、奨学金の貸与を受けた結果、大学卒業時点で借金600万円になるケースもあるという。
同書によると、1969年の国立大初年度納付金は、1万6000円(うち授業料は年間1万2000円)。それが2016年は81万円強(うち授業料は53万円強)。物価は3倍強だから、国立大学に払う金がいかに過大になったかわかる。私立大はもっと巨額になる。
OECD加盟国の中で、高等教育への公財政支出の割合は、日本が最低クラス。長年、国の「給付型」奨学金がないのは、日本ぐらいだった。
著者の大内さんは、13年には全国組織「奨学金問題対策全国会議」を共同代表として設立。活動がマスコミにも注目されるようになり、14年には学生支援機構奨学金の延滞金利率が年10%から5%に軽減されるなどの成果があった。給付型奨学金の導入を求める全国署名は、16年3月には300万を突破。こうした声に押されるなどして、政府は給付型奨学金の導入を決めた。しかし、所得制限などが厳しく、誰もが受給できるわけではない。
現在、奨学金を出す組織は、「大学」「公益団体」「地方公共団体」を合わせると約3800あるといわれている。募集時期、条件などの詳細は、「日本学生支援機構」や、奨学金情報をまとめている「ガクシー」などのウェブサイトで検索できる。成績優秀だと、受給のチャンスは広がる。早めに奨学金情報をチェックしておくと、受験勉強のモチベーションも上がることになる。