民間は給付条件が緩い
「公益団体」の奨学金では、給付額が大きいところが目立つ。
公益財団法人「キーエンス財団」は月額10万円。採用人数は約600人。専攻分野、居住地域の制限はない。「電通育英会」は月額7万円。採用は約100人。このほか、月額12万円も支給するところもある。給付の前提条件となる家計状況については、学生支援機構よりもハードルが低いところが多い。他の奨学金とダブルで受給できる奨学金も少なくない。
「地方公共団体」の学生支援は、二つのパターンがある。一つは地方公共団体が直接奨学金を用意するもの。月額1~5万円が多い。
もう一つは、返済支援。地方公共団体が、一定の要件(域内に一定期間居住、特定の業種に一定期間就業など)を満たす学生の奨学金の返還を支援する。2023年6月現在、36都府県、695市区町村が奨学金返還支援に取り組んでいる。
最近では、富山県の新制度が話題になった。富山大学薬学部に「地域枠」を設け、卒業後に県内で薬剤師として9年間働けば、貸与奨学金700万円あまりの返金が免除される。
「教員確保」を目的にしたものも増えている。山梨県教委は、県内の公立小学校に教諭として一定期間勤務することを条件に、学生支援機構から貸与を受けた奨学金の返還の一部を補助する事業を始めている。岐阜県教委も24年度の新規採用教員を対象に、同じような制度を始めた。