インドから元気に帰国、直後に異変... 「口に入れるモノ」全てに注意したのに

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【連載】お腹トラブル天国と地獄 ~運命の選択~

   20代・男性の海斗さんは、人生で初めて3日間のインド旅行へ。事前にもらったアドバイスにしたがって細心の注意を払い、無事に自宅へ帰ってきました。

   しかし帰国から間もなく腹痛と下痢が止まらなくなり、トイレと2日間もガッツリお友達に! インドにいる間は大丈夫だったのに、一体なぜ?

  • 最新の注意を払ってインドへ……無事に帰国、と思ったのに
    最新の注意を払ってインドへ……無事に帰国、と思ったのに
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帰国したら下痢が止まらず...

   旅行が決まると、海斗さんはまずインドに行ったことがある先輩に話を聞きに行きました。インド旅行というと、健康トラブルを起こす人が多いイメージがあったからです。先輩からのありがたいアドバイスは、「とにかく飲み水に気をつけなさい」でした。インドの下水処理は発展していないので、水道水を飲むと具合が悪くなる人が多いのだそうです。

   海斗さんは先輩からの助言通り、インド滞在中は「口に入れるもの全て」に気をつけました。

・飲み水はボトル入りの飲料以外は飲まない
・食事も加熱調理されたものだけを選ぶ
・街頭の屋台などで売られているものは食べない
・テーブルに常備されている調味料は使わない

   このように、考えうることを全て取り入れて生活したのです。おかげで、インドに滞在している3日間はトラブルもなく元気に過ごせました。

   しかし、帰国して自宅に到着すると、その日の夜中から下痢と吐き気に襲われます。翌日から2日間は動けず、ずっとトイレから離れられない状態に。自分の意思とは関係なくうんちを漏らしてしまう有り様なので、恥ずかしさから病院にも行けません。なんとか3日目から徐々に症状が良くなり始め、帰国から1週間程度で完全に回復しました。

   「インド滞在中は細心の注意を払っていたし、無事に帰国もしたのにどうしてこんなことに?」。こんな疑問がわきますが、実は海斗さんには「見落としているポイント」がありました。私たちもやってしまうかもしれない落とし穴とは、次のうちどちらでしょう。

少しの量でもリスクあり

   正解は、2の「滞在中の洗顔や歯磨き」です。

   インドに限らず、海外旅行先で下痢をしてしまうというのは、よくあるパターン。旅行中や帰国後の下痢症状はまとめて「旅行者下痢症」と呼ばれています。これは、インフラ整備が十分にされていない不衛生な場所が多い地域に旅行した人に、特に多くみられるようです。海斗さんのように、飲み水や食事に気をつけることが、予防策としてはかなり有効です。

   しかし、意外と見落としがちなのが歯磨き、洗顔、シャワーなどで使う水。ゴクゴクと飲むわけではなく、口をゆすいだり洗い流したりするだけなので、こうしたシーンでは水道水を使う方もいるようです。もちろん、すすぎ程度であれば下痢を起こさない人もいますが、今回の海斗さんはおそらくこの「ゆすぐ、流す際の水道水利用」が引き金に......。加えて、歯ブラシの洗浄が不十分だと雑菌が繁殖し、ますますリスクが上がってしまいます。

   旅行者下痢症は、多くが細菌やウイルスが原因で起こります。感染すると発症するまで12~72時間程度かかるので、海斗さんはたまたま旅行中に症状が出なかっただけかもしれません。

   重症度は人それぞれ異なります。通常は何もしなくても3~5日程度で治ることが多いです。発熱などを伴う場合もあるので、あまりにも辛い場合は病院受診をしましょう。

   もうひとつの選択肢「薄着で帰国」ですが、1月~2月ごろの日本とインドの寒暖差は約15度なので、インドの気温に合わせた服装のまま帰国するとかなり寒いです。寒暖差が大きいと、自律神経の乱れや冷えなどの要因で急性の体調不良を起こす可能性もあります。しかし、その症状が2日以上続くことは考えづらいでしょう。

帰国後2週間は要注意!

   旅行者下痢症は、発展途上国を訪れる20~50%の人が発症すると言われています。現地で下痢を起こして回復しないまま帰国することになってしまった場合は、必ず空港検疫所で申告しましょう。コレラや赤痢など、感染力が強い感染症であることも考えられます。また、このような感染症の中には潜伏期間が長いものもあるので、帰国後1~2週間の間は体調の変化に注意を払うようにしましょう。

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