ラップバトルで盛り上がる空間
続いて、雲海駅を訪れた。イメージは、「小さなトロッコ列車が入ってくるような駅」。
雲海区と時間軸や世界観を共有しているワールドではあるが、「青空と白雲」だった雲海区と少々趣が異なり、夕陽に照らされる駅のホームにはノスタルジックな雰囲気が漂う。線路の彼方には、蟻塚をほうふつとさせる大きな建造物も見える。どこにでも行けそうな、それでいて、世界に一人だけ取り残されたような、不思議な気持ちが湧く。
ここでは、駅のホーム上にDJスペースを作って、音楽イベントをできるようにしているという。主に、複数人が輪になって即興でラップバトルする「サイファー」や、ダンスバトルなどの会場に使われるそうだ。
Magurojuiceさん「ここには24時を回ってから、人が多く集まるんです。私も『サイファー』に参加するのですが、気づいたら4時を回っていることが多いですね」
最後に、「灰月庵(Ash Moon Hermitage)」へやってきた。雲とも霧ともつかない、白いもやに包まれた荒野が果てしなく広がっている。
「誰かと話しながらも、集中が途切れないように作業をしたい」というクリエイターが、少人数で集まれるようにと用意したワールドだ。まだ制作途中で、今後はベッドルームなどを増やしていくとのこと。
「VRChat」では、ワールドの選択画面から作者が公開している他のワールドをすべて閲覧でき、自由に移動可能。雲海区、雲海駅、灰月庵をカスマルは30分ほどで全て回りきった。Magurojuiceさんは
「クリエイティブな方向けに、色々な人とつながる何かのきっかけになるような、楽しいワールドを作りたい」
と、今後の展望を語った。ワールドごとの雰囲気に即した「交流」を促すことを大事にしつつ、さらに相互作用させ、3ワールド全体として「人の出会いや、つながり」を後押ししたいという思いがあるようだ。