うんと高い場所、例えば雲上での生活に憧れたことはないだろうか。メタバースプラットフォーム「VRChat」内のとあるVR空間で、さながら「空中都市ライフ」を楽しめる。
「Magurojuice」さんが制作したワールド、雲海区(雲海地区)、雲海駅、灰月庵(Ash Moon Hermitage)がそうだ。3つとも「交流」を意識して生み出された場所だ。VR記者カスマルは3ワールド全てを取材した。
「文明が崩壊した後の世界」をイメージ
雲海区(雲海地区)に入ると、そこは部屋の中。ベッド、テレビが置いてあり、「アニメやゲームなどのオープニングで、これから旅に出ようとしている主人公の実家」を思わせる内装だ。窓からは、雲の上に浮かんでいる都市全体が見渡せる。さながらジオラマのようで、とてもきれいな景色だ。
灰色の都市を眺めているといつの間にか、小さなかわいいアバターがすぐ隣に佇んでいた。カスマルが景色を堪能しているのを邪魔しないよう、気づくまで黙って見守ってくれたのかもしれない。
声をかけると、独特なタッチのイラストのようなアバターが「こんにちは!」と答えた。ワールド制作者のMagurojuiceさんだ。
雲海区は祈りの場、ためよし食堂、土管公園、宇宙美術館、雲海放送局と5つの場所で構成されている。Magurojuiceさんによると、「なんらかの理由で、現在の文明が崩壊した後の世界『ポストアポカリプス』」をイメージして作った空間。確かにどこもかしこも、錆びた屋根や床、壁ばかり。それでいて、どことなく懐かしさも感じさせてくれる。
Magurojuiceさん「ワールド全体を『引き』で見た時に、特にきれいだと思ってもらえるように制作しています」
部屋を出て向かったのは、ためよし食堂。ここで集まると、飲み会気分を味わいながら交流できる。「ためよし食堂」の名前の由来は、Magurojuiceさんが飼っているネコだ。
人気メニューは「ハンバーガーラーメン」で、壁に貼られたポスターで大々的に宣伝されている。文字通り、ハンバーガーとラーメンを組み合わせた斬新な料理だ。実際に食べられないのが惜しい。
ためよし食堂の上にある階段は、土管公園に続いている。何かのアニメで見たような雰囲気の公園だ。ここはユーザーが弾き語りや、お笑いライブ会場として活用するそう。公園の隅から足下を見下ろすと、分厚い雲がぎっしり。酒に酔って足を踏み外したら地上へ真っ逆さま――にはならず、落ちてしまってもすぐに戻ってこられる。安心して、青空ライブならぬ「雲海ライブ」を満喫できる。
そういえば、軽快でかわいらしいBGMがずっと流れている。曲名は「午後8時過ぎの楽園」。「みんなで午後8時頃に雲海区に集まり、楽しく過ごしていること」にちなんでつけたという。......つまり、BGMもMagurojuiceさんのお手製だ。クオリティの高さに、カスマルもびっくり!