アマスポーツなのにビジネス化
玉村さんや酒井さんがともに指摘するのは、箱根駅伝はアマチュアスポーツなのに、スポーツビジネス化しているという問題だ。
「箱根」と同じように、アマチュアスポーツが国民的行事になっている例では高校野球がある。こちらは基本的にNHKが中継している。入場料収入や経費などの収支は、日本高等学校野球連盟と主催の新聞社が公開している。
一方、「箱根」は民放の中継なので、スポンサー料やCM料金が発生している。しかし、主催する関東学連は任意団体なので、資金や財務の情報は一切公開されていない。集まった資金はどこにどのように配分されているのかと、酒井さんは疑問を投げかける。
大学駅伝では、出雲駅伝や、全日本大学駅伝も民放で中継されている。しかし、高視聴率を稼いでいるわけではないので、スポーツビジネス化していると言えないようだ。
酒井さんによると、「箱根駅伝」という名前は、読売新聞が商標登録している。グッズの売り上げの一部をロイヤリティーとして受け取る権利を持っている。広告代理店は読売広告社。日本テレビは特別後援。報知新聞は後援。大会の主催は関東学連だが、読売グループが仕切っている。大会が盛り上がれば盛り上がるほど、読売グループには明確なリターン(利益)がある、とも指摘している。
12月19日の朝日新聞は、青山学院大の原晋監督のロングインタビューを掲載している。それによると、現在、出場するチームが受け取るお金は300万円。箱根駅伝というコンテンツの価値からすると、見合った金額とは言えないとし、大学側が独自グッズを作ろうとすると、商標登録の関係から規制がかかることなどを説明。「自分たちで自由に稼げるような仕組みにしていただけないでしょうか」「収益があがれば、それを強化に回すことができる」と提言している。