岸田内閣の支持率が大きく落ち込んでいる。2023年12月17日に公表された毎日新聞の調査では「支持する」が16%。14日公表の時事通信では17%、日本経済新聞の17日公表の調査だと26%。いずれも岸田政権の発足以来、最低の数字だという。
とはいえ、16%と26%ではかなりの違いがある。メディアによって支持率に差が出るのはなぜなのか。
「重ね聞き」の有無
一部では、政権に厳しいスタンスのメディアでは支持率が低くなり、そうでないメディアでは高くなるのではないか、などという見方がある。
しかし、それは違うと、『世論調査の真実』(日本経済新聞出版、2021年刊)は指摘する。著者の鈴木督久さんは、日経リサーチで長く世論調査に関わってきた専門家だ。同書によると、差が出る最大の要因は、「重ね聞き」をするかどうか。日経の場合、内閣支持を質問して「わかりません」と答えた人には、「お気持ちに近いのはどちらですか」と一度だけ重ねて質問する。読売もほぼ同じ。朝日や毎日は何も言わず、次に移る。
2008年9月の麻生太郎内閣の支持率調査では、日経の第一段階の支持率は45%。朝日は48%、毎日は45%。日経の第二段階の結果は53%。「重ね聞き」で8%アップしていた。その後の支持率調査でも、「重ね聞き」で平均6%アップしていることが分かった。
専門家の間では、各社の支持率の差は、主として「重ね聞き」という方式をとっているか否かによる、というのが定説となっている。
各社は毎回、ほぼ同じ質問の仕方をする。このため、毎月のように行われている「支持率調査」では、他社との数字を比較するのではなく、同じ社の調査における支持率の変化を見ることが重要とされている。