戦争では「感染症」が怖い ガザやウクライナの前線でネズミ大繁殖

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ナポレオンはシラミに負けた

   過去の戦争ではしばしば、戦死者よりも、感染症による死者が多くなった。戦地での衛生環境の悪化が原因だ。

   『人類は「パンデミック」をどう生き延びたか』(島崎晋著、青春文庫)によると、ナポレオンのロシア遠征は、一般的には「ロシアの冬」に敗れたということになっている。しかし、実際には、少なくとも38万人といわれる遠征軍の死者のうち約3分の2は何らかの感染症によるものだった。多かったのはシラミが媒介する「発疹チフス」だったという。

   19世紀には、英国をはじめ世界各国でコレラが大流行した。これはインド独立の戦いを抑え込むため、インドに送り込まれた英国兵が現地から持ち帰ったともいわれている。『コレラの世界史』(見市雅俊著、晶文社)によると、英軍がコレラ原生地のベンガル地方からインド内を長距離移動したときには、約1万人の部隊のうち約3割がコレラで死んだという。

   第一次世界大戦の時期には、全世界がスペイン風邪で大打撃を受けた。もともとの発生源は、米国内の陸軍基地だったといわれている。米軍が欧州戦線に投入されたことで、欧州全土に拡大。さらに世界全体に広がり、死者は2000万人から4500万人にのぼった。大戦での戦死者よりもはるかに多かった。

   BS1スペシャル「感染症に斃れた日本軍兵士 マラリア知られざる日米の攻防」によると、太平洋戦争では、日本軍兵士の6割が餓死・戦病死だった。軍は南方戦線でのマラリア対策に追われた。

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