季節性インフルエンザの感染が拡大している。厚生労働省によると、2023年9月上旬からの累計推定感染者数は、すでに800万人に達している。過去の大流行時に比べると、今年は早くから流行が始まり、感染者の数も多い。今後さらなる感染拡大が懸念されている。
全国でまんべんなく拡大
厚生労働省は1週間ごとの感染者数を、全国約5000の定点観測医療機関からの情報をもとにまとめている。
それによると、12月10日までの1週間に報告された1定点医療機関あたりの新規患者報告数は全国平均で「33.72人」。警報基準レベルの「30人」を超えた。前の週は「26.72人」だった。全国47都道府県で前の週を上回っている。
都道府県別では北海道の(60.97人)が最多。次いで宮城県(57.49)、大分県(53.71)、宮崎県(49.64)、三重県(47.49)、熊本県(46.88)、群馬県(46.45)、長野県(46.23)、福岡県(45.66)などの順。全国各地でほぼまんべんなく拡大している。
定点医療機関からの報告をもとに、この1週間に、定点医療機関以外の医療機関を含む全国の医療機関を受診した患者数を推計すると、約111.8万人。9月上旬からの累計では約800.3万人となった。
幼稚園や学校などでは、前の週の約1.4倍の6382施設が休校や学年閉鎖・学級閉鎖となっている。
何度もかかる人も
例年の12月上旬と比べると、今年は感染者数が際立って多い。コロナが大流行した時期は、インフルエンザの感染が少なかったので、それ以前を調べると、定点観測のデータは、大流行したとされる2019年でも9.52人にとどまっていた。18年は1.70、17年は4.06、16年は3.31、15年は0.30と、一けた台ばかりだった。今年は早くから流行が始まり、しかも感染者数が極めて多くなっているのが特徴だ。
厚労省によると、国内のインフルエンザウイルスの検出状況は、直近5週間ではAH3亜型が60%、AH1pdm09が37%、B型が3%となっている。
感染が全国最多の北海道では、札幌テレビ放送が地元の小児科医に取材して、現在のインフルエンザの特徴を伝えている。それによると、季節性インフルエンザはA型とB型があり、現在流行っているインフルエンザのほとんどは、感染力が強く症状も強いとされるA型。しかも、同じA型でも今年は型の違う2種類が存在しているため、何度もかかる患者が出ているという。