VR空間における自分の分身、「アバター」。人間、ケモノ、ロボット、はたまた幽霊に食べ物に......と多種多様で、各自が好みの姿を取ってメタバースプラットフォーム「VRChat」や「cluster」で活動している。
この「アバター」についてのある調査が、2023年12月に発表された。電子機器エンジニア「en129」さん、民間研究職(社会調査)の「あしやまひろこ」さんが、「VRChatイベントカレンダー」内から、集合写真が掲載されている日本語話者向けイベント100件をランダムに抽出し、映り込んでいる2017人のアバターを分析。VRChatにおけるアバターの使用率傾向などを調べたところ、興味深い結果が得られたという。
ケモノだけが突出して......
本調査では、各アバターの種族を「人間」、「亜人間」、「ケモ」、「その他」と分類。それぞれ、下記のように定義づけている。
人間:人の形をしており、ケモ耳などといった有機的な付属物がない
亜人間:人の形をしており、有機的な付属物が人体に付属している
ケモ:イラスト「ケモ度の階段をのぼろう!!」において、2段階から4段階に相当するもの。画像2を参照
なお、アバター分類はen129さんの主観によるもの。性別は「男性」「女性」「性別不明」に区分した。発表資料によると、
・「ケモノ」以外のアバターについては、イベント規模が増えると参加アバター数が増える傾向があった
・「ケモノ」にはその傾向がなく、はずれ値(編注:他の値から大きく外れた値)を除くと、おおむね常に一定数(1~3人(匹)程度)しかイベントには参加していない
こう分析できるという。資料内の表「イベントの種族別人数の相関係数(編注:2 種類のデータの関係を示す指標)」を見ると、「ケモ」の値だけ突出して低い。ゼロ付近ばかりだ。
アバターの種族と規模に関して、相関係数(表10)および散布図(図3、図4)を分析すると、「ケモノ」以外のアバターは、イベント規模が増えると参加アバター数が増える傾向に。
イベント規模に対し、どの種族がどの程度参加したかをプロットした「散布図」形式で見ると、イメージがつきやすい(画像3、4)。人間と亜人間は、イベントの全参加人数増に伴い、割合が大きく右肩上がりしている一方、「ケモ」は伸び幅が鈍く、ほぼ横ばいのような状態だ。