日本の少子化が止まらない。厚生労働省が明らかにした2022年の「合計特殊出生率」(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数)は1.26にとどまった。7年連続で下がっている。
とくに東京都は1.04と、全国最低だ。なぜ東京は低いのだろうか。
大都市圏が低い
厚生労働省は毎年、「合計特殊出生率」を公表している。最新のデータによると、2022年は前年より0.05ポイント低かった。1947年に統計を取り始めてから最低レベルだという。
低さが目立つのは首都圏。全国最低の東京は、前年比で0.04ポイント低下した。6年連続の減少だ。神奈川県は前年比0.05ポイント減の1.17で過去最低を更新。埼玉県も前年比0.05ポイント減の1.17。千葉県は1.18で0.03ポイント減。東京を筆頭に神奈川、千葉、埼玉は全国で最も低いグループとなっている。大阪府や京都府なども低い。
逆に高いのは、沖縄県1.70、宮崎県1.63、鳥取県が1.60など。全体として大都市圏は「合計特殊出生率」が低く、地方が高い傾向が続いている。
国立社会保障・人口問題研究所は5年ごとに、出生動向について調査している。21年の調査で、「予定している子どもの数」が「理想とする子どもの数」を下回っている夫婦に理由を複数回答でたずねたところ、最も多かったのは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(52.6%)だった。
都は少子化対策に1兆6000億円
大都市では生活コストが高い。そのため、子育てにもお金がかかり、子供を産みにくいのではないか――。そんな推測も成り立つが、実情はやや複雑だ。
しばしば指摘されているのは、東京の場合、未婚女性の増加だ。東京には近年、地方から男性よりも女性が多く流入する傾向がある。流入するのは若い女性が多いので未婚比率が高い。あるエリアに未婚女性=子供を産まない女性が増えると、必然的に「合計特殊出生率」は下がってしまうのだという。
このため、大都市圏の自治体では、少子化対策に力を入れている。12月1日の産経新聞によると、東京都は、今年度の少子化対策予算として、前年度を2000億円上回る1兆6000億円を計上。0~18歳の全ての子供を対象に毎月5000円を給付する「018サポート」をはじめ、第2子の保育料無償化など、子育て支援の拡充を急いでいる。
同紙の取材に、京都大学の柴田悠教授(社会学)は「給付型の支援は即効性があり有効」と認めた上で、「根本的な問題を解決するためには、若者が結婚・育児をしやすくするための働き方改革や男性の育児参画を促す支援が重要」と指摘している。
様々な要因が絡む
日本では全国的に出生者数の下落が続き、少子化対策が急務となっている。2022年に生まれた日本人の子供の数は、約77万人。前年から5万人近く減った。1899年に統計を取り始めてから最も少ない。
NHKによると、厚生労働省は「少子化が進む背景には結婚や出産、子育ての希望の実現を阻むさまざまな要因が複雑に絡み合っていて、新型コロナの流行も結婚や妊娠に影響した可能性があるのではないか」とみているという。