肌寒い季節だ......。VR記者カスマルは、ぬくもりを求め、メタバースプラットフォーム「cluster」内のあるワールドに向かった。その名も「たわむれいっぬ冬色」。かわいらしい犬がたくさんついてくるという。
製作者の「ふたば」さんと、「*あんこ*(以下、あんこ)」さんの案内のもと、ワールドを見て回った。犬だけの空間かと思いきや、見どころは他にも。
犬が「やんちゃすぎ」て...
「たわむれいっぬ冬色」に入ると、イルミネーションが飾られたトンネルが迎えてくれる。近くの床に、ぽつんと転がっている酒の空き缶にご注目。タップすると、酔っ払いのように寝そべることができるという。
トンネル内に入ると、行く手に柵が見えた。中には人影......ならぬ犬影が。
ワールドを誰かが訪れると、犬がすーっと地面をすべるようにして、入り口めがけて走っていく。多くはそのままユーザーとたわむれるのだが、たまに迷子になってしまう犬がいるという。わかりづらい場所に入り込んだ個体は、ふたばさん、あんこさんが自力で探して連れ戻さなければならない。それを防ぐために急遽、柵を作ったそうだ。
柵に近づくと、中にいる犬は全部で4匹。なんだか少ないような? もしや、既に何匹か逃げ出した後なのでは。
あんこさん「とても、やんちゃなのですぐ脱走します。柵、乗り越えちゃうんですよねえ」
やっぱり。
視線を上へ向けると、透明なボールが浮いている。タップして乗ると、ワールド内の全体が見渡せる。ボールの上から、他の場所に移動することも可能だ。下から見上げていた時と比べ、ボールの高度は想像以上。地面にいる犬たちは、もはや見えない。
何故このような「ワープのように移動できる仕様」になっているかというと、「犬がついてこられないようにするため」。ユーザーがワールド内を自由に動き回っていると、犬がどこからともなくやってきて、ついてくる。ユーザーと一緒に歩こうと頑張るものの、ひょんなことから迷子になってしまう犬を出さないように、歩行のほかにワープによる移動手段も用意しているわけなのだが......。
カスマル「(あんこさんの後ろに犬、いつの間にかついてきてるんだよなあ。さっきまでいなかったはずなんだけど......上から落ちてきてる......?)」
いよいよワケがわからない。やはりどうも、少なくない数の犬たちが既に脱走していたようだ。ユーザーがゆっくり動けば、犬もそれにあわせて歩いてくれるが、例えばユーザーが勢いをつけて角を曲がると、犬は遠心力に負けたように、どこかへすっ飛んで消えていく。しかしユーザーが立ち止まると、頭上から急に犬が降ってきて戻ってくる。
ふたばさん「犬が脱走したうえに、飛んで行ってしまいましたねー」
あんこさん「あれ、また犬が急に降ってきましたよ」(上空からポトポト落ち、足元に戻ってくる)
全く動揺する様子のない二人。謎のメカニズムによる「消失」、そして「帰還」は日常茶飯事であるようだが、こんなに何匹もの犬が柵の外に出てくることは「初めて」だという。実はカスマル、「メタバースの記事を取材する記者犬」として一部界隈に知られているので、「犬」つながりでシンパシーを感じてくれたのかもしれない。
これからも「犬好き」のために
ふたばさん、あんこさん、そして集まったり離れたりを繰り返す犬たち......。にぎやかな一団と共に進んでいくと、やがて噴水があった。目の前のベンチに座って、ほっと一息。
ふたばさんによると、来場者の多くが、紅葉など「秋」を題材にした前作ワールド「たわむれいっぬ秋色」にも足を運んでくれていたリピーター。新規ユーザーも、犬好きばかりだという。犬好きのユーザーが定着していることから、扱う動物を増やす予定はなく、今後も犬オンリーのワールドを手掛けていくそうだ。
「たわむれいっぬ冬色」という名前ではあるが、通年で存在するワールドであるため、暑い時期でも遊びに来られる。夏に犬とたわむれつつ、イルミネーションを眺める穏やかなひと時を過ごせるのもVRならではの楽しみ方だろう。